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日本はまだまだ差別の多い国だ

2010-09-07 | 世界を知る

 女性への差別的法律なぜ

    条約いかし国内法整備を

              国連女性差別撤廃委員会委員

              ドゥブラブカ・シモノビッチさん講演


 国連の女性差別撤廃委員会の委員、ドゥブラブカ・シモノビッチさん(クロアチア)が来日し、国立女性教育会館(埼玉県)や東京、大阪、福島で講演しました。同委員会で日本政府の報告書を2度審議した経験、今後の期待などを語りました。(都光子)


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 「地下鉄に乗ったり、町の中を歩いたりしましたが、ヨーロッパと変わらないなと感じました。なのになぜ、このような差別的な法律があるのでしょう」

 日本の民法に規定されているなかで、婚姻の最低年齢が男女で違うこと、離婚後の女性に再婚禁止期間があること、夫婦の氏の選択にかんして差別的であることをあげて、シモノビッチさんはこう話しました。「今の時代にこのような規定がまだ残っていることが不思議です」

追加報告求める

 1979年の国連総会で採択された女性差別撤廃条約。日本は85年に批准しました。25周年にあたる今年、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)が、条約の実効・具体化を推進する女性差別撤廃委員会の委員、シモノビッチさんを日本に招へいしました。

 昨年、同委員会が日本政府にたいし、是正を勧告する「総括所見」を出しました。60項目にも及ぶものです。なかでも2年以内に進展状況などの追加 報告を求めるという「フォローアップ(追跡調査)手続き」が2項目出されました。ひとつは、婚姻最低年齢を女性も男性と同じく18歳にすること、離婚後女 性のみに課せられている6カ月の再婚禁止期間を廃止すること、そして選択的夫婦別姓制度導入を内容とする民法改正、婚外子差別の撤廃を強く要請しました。 もうひとつは政策・意思決定機関への女性の参加の促進です。女性の雇用及び政治的・公的活動への女性の参加に重点をおき、あらゆるレベルでの意思決定の地 位への女性の参加を引きあげるための数値目標とスケジュールをもった、暫定的特別措置を採用することです。

行動計画持って

 「昨年の審議には、日本から多くのNGOの人が出席し、高いレベルの情報が提供されました。委員会内でもこの役割は大きいと認識されています」といいます。

 審議は、政府と「建設的対話」と呼ばれるやりとりをおこないますが、政府報告書とあわせて、NGOから提供されたリポートも参考にし、問題点をより正確に把握します。新しく導入されたフォローアップ手続きの報告でも、NGOに情報提供するよう求めています。

 「フォローアップ項目の2点はいずれも日本にとって長年にわたる困難な課題です。しかし、日本政府がフォローアップの勧告の実施を優先事項とし、 どのような手立てで、どのようなタイムテーブルで実施するのか、明確な行動計画をもってとりくむことが大事です」と強調しました。

 そのうえでも重要なことは、女性差別撤廃条約を、法的拘束力をもつ国際文書として認識することだと指摘します。「日本国憲法第98条2項で、批 准・公布された条約が日本の国内法の一部として法的効力をもつ、と規定しています。国内法と女性差別撤廃条約が整合性をもつことを確保すること、(同)条 約が完全に実効性をもつようにするという見地でとりくむべきです」と話しました。

 最後にシモノビッチさんは、女性差別撤廃条約の成果が、日々の生活に反映されることが何より重要、と話しました。「日本の女性たちが、条約のもとで自らの権利を完全に保護されるにいたることを望みます」


 女性差別撤廃委員会による審議 女性差別撤廃条約は、締約国にたいし、条約の実施状況について4年ごとに国連に報告書提出 を義務づけています。報告書は23人の専門家からなる女性差別撤廃委員会が審議し、勧告を含む総括所見を出します。日本は1988年に第1次報告審議がお こなわれ、昨年7月に4回目となる報告書審議がニューヨークの国連本部で開かれました。8月に総括所見が出されました。

 同条約は、現在186カ国が批准しています。