春は囀りの季節だ。小鳥たちが奏でる音風景は暫しの至福感を齎してくれる。今朝もホオジロが、当菜園の傍らの桑の裸枝でひとしきり囀ってくれた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/9c/9a70ff7b9f9cc3687cd3f8eea23f9a4c.jpg)
昨朝も小鳥たちの声を聞きながら山道をユキと散歩していると、数メートルほど先を見慣れぬ獣が横切った。やや小さめの中型犬ぐらいの大きさで、頭部は小さく上半身が細く、下半身は大き目で尾が長い。犬でも猫でも狸でもない。イタチにしては大き過ぎる。ハクビシンだろうか? 顔が向こうで鼻が白いかどうか見えなかった。
藪が迫る山道とはいえ、明るくなった時間に人前へ姿を現すようなことは滅多にない獣だろう。右側の藪から左側の藪へ、頭部を下げてトボトボ歩いていった。長い尾は力無く垂れ、毛並は荒れているようだった。年老いて死に場所を求め彷徨っていたのかも知れない・・・ 他人事、いや他獣事とは思えず、しんみりしてしまう。
他の獣に遭遇すると猛烈に興奮するユキが、このときは呆然とした表情で見送っていた。
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昨朝も小鳥たちの声を聞きながら山道をユキと散歩していると、数メートルほど先を見慣れぬ獣が横切った。やや小さめの中型犬ぐらいの大きさで、頭部は小さく上半身が細く、下半身は大き目で尾が長い。犬でも猫でも狸でもない。イタチにしては大き過ぎる。ハクビシンだろうか? 顔が向こうで鼻が白いかどうか見えなかった。
藪が迫る山道とはいえ、明るくなった時間に人前へ姿を現すようなことは滅多にない獣だろう。右側の藪から左側の藪へ、頭部を下げてトボトボ歩いていった。長い尾は力無く垂れ、毛並は荒れているようだった。年老いて死に場所を求め彷徨っていたのかも知れない・・・ 他人事、いや他獣事とは思えず、しんみりしてしまう。
他の獣に遭遇すると猛烈に興奮するユキが、このときは呆然とした表情で見送っていた。
昨夕のユキの散歩時、同じ山道の傍らの草薮にこの老獣がいました。息絶えだえになって・・ 顔が見えました。鼻筋が白くないのでハクビシンではありませんでした。小顔の割には大きい耳で先が尖っています。顔形は逆三角形・・ 老獣の正体はキツネでした。
十余年前に当地へ移住してまもない頃、夜の裏山の奥の方から コーン コーン とキツネらしき鳴き声を聞いたことがありますが、その後は聞かないので、この辺のキツネはいなくなったのだとばかり思っていました。
瀕死のキツネの様子は悲惨と言うべきでしょうけれど、いや、崇高なのだ・・ と言いたい気持も私にはあります。死に際にあたって、言葉を持たないキツネは人間のように考えることは出来ないけれど、だからこそ人間には得られない深い真実を感得しているのではないか・・ と。
先ほどのユキの散歩時に再びこの場所を見たのですが、老狐の姿はありませんでした。辺りが汚れていないので、他の禽獣に襲われたわけではなく、どなたか人様が遺骸を片付けたのでしょう。