話題の画像の本を続けて読みました。
上野千鶴子 著『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)
樋口恵子著『老いの福袋 あっぱれ! ころばぬ先の知恵88』(中央公論新社)
72歳の上野さんはお一人暮らし、88歳の樋口さんは娘さんと二人暮らし、
どちらも日本を代表するフェミニストであり、社会学者です。
上野さんが2019年に行われた東京大学学部入学式において来賓として登壇し、
祝辞を述べた際に医学部不正入試問題に触れつつ、未だ社会には性差別が根強く残っていることを
強く指摘されたことを思い出します。
また、樋口さんの新聞人生相談での気持ちの良い回答に、いつも心がすく思いがしています。
2冊とも「なるほど!」「そうなるのか…」と笑いながら読み、
その後じんわりと「老後」について考えさせる本でした。
これらの本を読んだのは、先月末に実家の父が施設に引越ししたから。
身体は元気で家事一切を5年以上手掛けている父は、まだまだ一人で家にいられそうですが、
今月87歳になり運転免許を返納すると決めた時から、施設に入ろうと思っていたらしいです。
一人で、ネットで情報を仕入れ、自分の足で実際に施設をあちこち見学に行き、
「ここなら!」と思った施設を決めて順番待ちして入りました。
要支援にもなっていないので自立型で、部屋はマンションタイプ、
子どもたちの学生時代の都内マンションより広い個室にはキッチン・トイレもあり、
ロビーはまるでホテルのよう、お風呂は天然温泉なのだそうです。
免許返納までは自分の車を停めておいて、外出も買い物も自由にできる、
はずでしたが、今のコロナ禍で外出はちょっと制限があるようです。
まだまだ大丈夫、と思っていましたがコロナ禍の1年が過ぎていろいろ考えたようです。
近所の方と頻繁に会えない、私たち家族も会いに行きにくい、自分も出掛けにくい、
周りの高齢者の方々は「在宅ひとり死」(孤独死といういい方はちょっと・・・)され、
発見までに時間がかかると家の中が大変なことになる…等々。
それで元気なうちに自分の気に入ったところを選んで、終の棲家にしようと思ったらしいです。
その施設は自立型から、介護付き、そして病院と揃っているのも安心だし、
3食作ってもらい、元気な同年代の友人も出来て、ちょっとしたジムもある(←気に入っていた!)、
非常呼び出しボタンもあり看護師さんもいてくれて安心、と、とても気に入っています。
先日行ってみたら、ロビーに見上げるほど大きな七夕飾りがしてありました。
私は、毎日電話をかけるし、土日は泊まったり、大変なら一緒に住むとも言ったのですが、
父は、それぞれの生活を大切にして欲しいし、介護その他はプロにお願いしたいと言われました。
合理的でリベラルな考え方の両親、初めは淋しい思いもしたのですが、
自分の好きなようにするのが良いと思い始め、今は私たち子供も安心しています。
老後、あるいは一人になったらどうするか、我が身のことも考えました。
まだまだあまり先走らないで、今をなるべく元気に過ごしていきたいです。