カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

僕は金曜です   何曜日に生まれたの

2024-07-01 | ドラマ

何曜日に生まれたの/大塚恭司・岩本仁志・松原浩・演出

 野島伸司脚本。漫画家の丈治は、唯一の連載が打ち切られることになる。生活も困る訳で、なんとかならないか編集部に頼み込むが、連載の条件として人気作家の公文と組んで作品を書くことを提案される。さらにこの公文の条件が、丈治の娘の実体験恋愛を題材にしたいということだった。しかしながら丈治の娘は高校時代の事故がきっかけで、10年もの間引きこもり生活をしているのだった。そういう事情があってもなお、作家の公文は、そんな過去のいきさつを詳しく聞きたがり、物語にすることを決意する。ちょうど娘の黒目すいは、同窓会の案内を受けていた。それに出席することと、携帯電話を与えて、実はその携帯から盗聴をする、という計画なのだった。
 出だしはまあ、そんな感じで、推移する。しかし当時すいはサッカー部のマネージャーをしており、その主要選手と大切な試合前日にバイクで事故を起こし、その責任を感じて転居し引き込もったということだったのだ。だんだんとその経緯は明らかにされるものの、人間関係は10年の時を経て、すいの不在の瑕を背負ったまま変化をしていたのだった。
 9回の連続ドラマだが、最初のころと最後の変化は、おそらく誰も予想できないのではなかろうか。ミステリとしてもそうだが、恋愛物語としてもめまぐるしく変化する。いや、観ているものには、そのように見せかけられているということかもしれないが……。
 最初は引きこもりの娘すいと、人気作家だがエキセントリックで何でも先を見通しているような公文の病的な感じが目を引いていたが、実際には過去のサッカー部内の複雑な恋愛劇と、事故をめぐる隠されたミステリの謎解きが重層的に展開されるのだ。ほのぼのとしたオタク・テイストもあるのだが、しかしそれは、病的な宿命に対するアンチテーゼであったりもする。連続ドラマとしてのキャラクターの設定がそれぞれ個性的で、裏切りがあったり秘密があったりしながらも、最終的には見事にまとまりを見せるのだからしてやられました。スゴイもんですね、ドラマって。いつの間にか心情的に皆を応援している自分がいて、そういう感覚もなんだか不思議だった。ちょっとあり得ないかな、という思いもあったのだが、この物語の為ならそれでいいのである。素晴らしいのである。
 そういう訳で、数日間家に帰って観るのが楽しみだった。これをリアルで毎週見ていた人は、大変だったんじゃないか、とも思った。ドラマはなるべく連続して見ないことには、先が気になって仕方ない。それで時間的に区切らざるを得ず、日常生活で苦しむ。まあ、それが醍醐味ってことかもしれないのだが……。
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