カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ほんとに俳優なのかわからない恋   コンパートメントNo.6

2024-06-30 | 映画

コンパートメントNo.6/ユホ・クオスマネン監督

 ロシア語のできるフィンランド人のラウラは、考古学の研究のため北極圏のある場所のペトログリフ(岩に書かれた古代絵)を見に行くために、寝台列車の旅に出る。同じコンパートメントには、差別的で粗野な男が酒を飲みながら絡んでくる。心の底から嫌気がさして途中下車しようとするが、列車の都合を考えて断念し、旅を続ける。寝台列車は途中で止まる時間も長いし、車中何泊もするような移動をするようで(何しろロシヤは広大な国土みたいだ)、嫌だった男にもなんとなくいい面も見えてきたりして、二人は親密になっていく。そうして実は、恋人だった同性の女性は、自分とは別れるつもりだったようなことも、旅をしながらわかっていくようになる。途中ロシヤ語の怪しいフィンランドの同胞の男も乗り込んでくるし、恋の行方は混沌としていくのだったが……。
 いわゆる美男美女の映画では無くて、恋愛映画なのにそこまで美しくない女と、どうみてもチンピラ崩れの男が、強い酒を飲み交わしたりする場面が続いたりするので、困惑する。基本は列車の移動なのだが、途中休憩下車したりするドラマもあり、ロシヤというのはつくづく奇妙な人間が多いものだと感心する。奇妙にやさしい人もいるが、粗野で乱暴でぶしつけである。そうして恩を仇で返すような人間もいる。こういう俳優を使って、よくもまあラブストーリーを作ろうと思ったものだと、いぶかる気分にはなるが、あちらでは少しは見られた顔の造形なのだろうか。不思議である。世界は広いということなのだろうか。
 北欧やロシヤは寒い国で、ずっと酔っぱらっていないと正気を保てないのかもしれない。突然に変な行動もとるし、いくらかかるかわからない金の使い方もする。そもそも貧乏そうなのに、実は金払いが良かったり、何かを盗んだりする。そういう部分は予測不能で、明らかに西側の映画とは違うものがある。物語のオチのようなものは、ある程度の予定調和があるものの、この旅行の顛末は、なかなかに予想できないものがあった。また変な映画を観てしまったものだな、と自分に感心するよりないではないか。
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