カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

時代を翻弄し書きまくった人   トルーマン・カポーティ 真実のテープ

2022-07-21 | ドキュメンタリ

トルーマン・カポーティ 真実のテープ/イーブス・バーノー監督

 作家カポーティの伝記映画。子供の頃に読まれていた作家だったし、映画化作品もあった。ちょっと変わった人でアル中だということは知っていたが、時代が下ってゲイで個性的な人だったということくらいは知識として知っていた。さて、そういう人物のドキュメンタリーが、なぜ今の世に……。今の世がタイムリーなのかどうかはともかく、改めてカポーティを理解するにはいい頃合いなのかもしれない。時代に愛されながらも、ある意味で、ちょっとゲテモノで、先取りした感覚はいくぶん早すぎて、そうして死んでしまった人だったのかもしれない。
 背は高くないが独特のファッションに高い声、最初に出会った人はちょっとびっくりするだろうが、話は面白く人を惹きつける。そうして話題の中心に座る。書いている作品はヒットする。文章も素晴らしい。映画化もされる。文化人だけでなく、いわゆる資産家や著名人に仲間を広げ、社交界の中心人物になる。社交界の在り方の原型を作ったともいわれる。しかしあることで信用を無くし、今度はより過激なセックス・ドラッグ・サブカルチャーの波にもまれていくことになるのだった。
 変わった人だということは、他の様々な文章から知られている。面白い人だったようだが、晩年はアル中気味で問題も多かった。そうして結局まだ50代の若さで世を去った。稀代の才能に恵まれた人気作家でありながら、出生は不幸で、エキセントリックで繊細な心持がありながら、大胆にも著名人になっていく。そのすべてが、いわゆるアメリカ的であり、時代を先取りしたような人だったのかもしれない。死後も古典化してまだ読まれているようだし、完全に消え切った人間ではない。多少時間は空いてしまったが、覚えている人も多い中にあって、まだまだ影響力を持ち続けられている人物なのだろう。ちょっと悲しい雰囲気は漂ってはいたものの、そのような人生を駆け抜けていくしかない生き方もあるということなんだろう。
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