カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

コメディだけど順にホラーに   この世に私の居場所なんてない  

2022-07-17 | 映画

この世に私の居場所なんてない/メイコン・ブレア監督

 独身で年増になっている看護師の家に空き巣が入る。ノートパソコンと家族の思い入れのある銀食器などが盗られるが、警察は今一つやる気が無い。ちゃんとカギをかけてもいなかったことなど逆に非難され、気分悪い感じである。犬の糞の始末をちゃんとしてくれていないだろう隣人の犬を飼っている友達がいない風の危ない青年に文句を言いに行くと、意外に彼はいい奴で、盗まれたノートパソコンが転売された先の黒人の怖い兄さんたちのいるところに乗り込んで、パソコンを返してもらうことに成功する。どうも盗品は中古買い取りリサイクル・ショップに持ち込まれているらしく、そこに行くと犯人の手がかりが付くのではないかと出向いていくのだったが……。
 基本的にはコメディ映画なのだが、犯罪被害者が、いつの間にか犯罪組織の凶悪な片棒を担がされていくようになって、だんだんとホラー映画化していく。描写がえぐいので、それなりの覚悟がいるかもしれない。しかしながらそれも含めて笑うべき映画かもしれなくて、たいへんに趣味が悪い。これはいったいどうなってしまうの? という不安に駆られながら、どんどんお話自体がおかしくなっていく主人公の体験を追いながら、映画を楽しむしかない。年増女性で本人は非力なのだが、それなりにタフなところがあって、カタルシスもあるかもしれない。ここまでの暴力にさらされて、平気なわけないと思うけど、もう開き直るしかないじゃないか。
 変な人ばかり出てきて、時には描写がひどすぎて嫌な感じにもなるんだけれど、これがある意味で中毒性のある面白さにつながるところもある。なるほどそういうトーンなのね、と理解できると、ジワジワ来るのではないか。いい趣味とはいえないまでも、そういう意味では今後も期待できそうな作風のものではないだろうか。
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