カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

イタリア的プレーを楽しむ   盗まれたカラヴァッジョ

2021-02-09 | 映画

盗まれたカラヴァッジョ/ロベルト・アンドゥ監督

 名画盗難事件をモチーフに映画の脚本が書かれることになるが、その陰に実際の事件を起こしたマフィアの真実が隠されていたことで、脚本家が誘拐されてしまう。しかし脚本家には、実はゴーストライターがいて、そのゴーストライターにこのネタを提供した爺さんが居た。その爺さんの真の目的とは何なのだろうか……。
 構成はいろいろとごちゃごちゃしているけれど、まあ、ミステリ・サスペンス娯楽作である。イタリア製であることがそれなりに目新しく、ちょっとしたところがアメリカ的でないところが面白い。イタリア語というのもいいかもしれない(結局字幕だし)。
 そういったイタリア的な雰囲気も楽しめるわけだが、ちょっと面白いと思ったのは、あんがいイタリアには女性が男性を大切にするような美徳文化があるらしい、という雰囲気だろうか。いい男には違いないが、複数の女たちが、いわゆる尽くしてくれることによって、男の生活が成り立っている。男はひどい目にも合うが、あるいはそれは自業自得だし、しかし結果的にはモテるので、ひょうひょうとしている。モラル的にどうなのか、という気もするが、そういうのが爽快でもあると言いたげである。まるでイタリア・サッカーそのもので、審判の誤審を誘い、見えなければいくらでも汚いプレーはして、しらばっくれる。しかしチャンスが来れば、しっかりシュートは決めるのである。
 この物語は、いわゆるフェイク映画でもある。実際の事件の顛末を映画の中の映画で明らかにして、恐らく暗躍しただろうマフィアの罪を公のもとにさらそうとしている。それを実際に阻止しようとするマフィアが、また、事件を起こして事実を闇に葬ろうとする。そうして映画でない現実でも、現在進行形で事件の真相を追っている刑事がいるらしい。そういう仕掛け自体が重層的に組み込んであって、そういうことが明らかにされる顛末自体も面白いわけだ。ちょっとごちゃごちゃしていて疲れるところはあるが、こういうのはやはり脚本の勝利なのだろう。
コメント
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