カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

元祖引きこもりといわれる人   モリのいる場所

2019-08-31 | 映画

モリのいる場所/沖田修二監督

 主人公の熊谷守一は、日本の画家。昭和52年8月。97歳で没。変な絵を描いているらしいということは示唆されるが、もっぱらこの老人の庭でごそごそと何かを観察しているらしい日常を描いている。昆虫たちを眺め、ため池のメダカなどを眺める。そうやって一日無為に過ごす芸術家である。そんなにスジがあるわけではないが、そのような熊谷と家族の日常を描くことと、近隣にマンションが建つことになるらしく、何か不穏な空気がある。支援者も含め、この芸術家の生活を守ろうじゃないか、ということらしい。
 客も多く、著名な画家から絵や書を頂戴したいという考えの人がやってくる。気が向かなければ庭でボーっとするのに忙しいと言って断るが、何かの間違いなどで気が向いたら、注文とは別に、自分の書きたいものを書いてしまう。基本的にいい人のようにも見えて、面倒くさい変人である。
 本人に何をしたいという明確な意思は感じられないが、小さいながらも小動物たちにしてみれば広大な森の中にあり、日々充実してもっと生きていきたいということのようだった。仙人のような人だけど、俗なのである。しかしこの人に引き付けられる現代人は多いようで、カメラマンや訳の分からない人や、建設業などがなんとなく押しかけてきている。演じている山崎勉も大変なファンだったそうで、引きこもりの王様のような守一に、ほとんど同化しているような演技であった。
 実際のところは、病気をした晩年に引きこもった(30年とかいう長さではない)ようだし、もっと狭いところだったともいわれている。ものすごい貧乏で、5人の子のうち3人を亡くしている。有名な画家でもそういう感じなのだろうから、奥さんが偉い人なのかもしれない。
コメント
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