カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

過去を引きずると現実が…   勝手にふるえてろ

2019-08-05 | 映画

勝手にふるえてろ/大九明子監督

 原作は綿矢りさ(未読)。松岡茉優主演の、そしてほとんど彼女のモノローグ的(的ではあるが、他の人物も話はする)な作品。最初は疲れる感じだが、一応いろいろ展開があるので、観られるとは思う。
 以前はオタクだったのか、生徒時代の同級生の男の子に恋したままOL生活をしている女性が、日常の様々な場面でいろいろ考えながら生活している様を描いている。新たな恋愛劇も、相手も変だが、妙にこじれる。
 意味が分からないわけではないが、考え方はちょっとわかりにくい。いわゆる特殊な人の特殊な感受性を描いているわけで、汎用性は無い気がする。鋭角に一部分とかなら、そうかもな、と思わないではないこともあるが、基本的になんという人だろう、という違和感の方が多い。女性なら共感も多いかもしれないけれど、それでもそれでいい感じになるとは考えにくい。ある意味で正直に生きているが、ひねくれているからである。女性として社会生活を送っているものの、ある種の少女性が抜けきれていなくて、そうしてそのことが自分でも消化できない感じなのかもしれない。もちろん、そういうものを描くのが目的であろうけど。
 当たり前のことだけれど、自分の考えと社会の現実は、多かれ少なかれ違うものである。想像するのは勝手だけど、だから人はどこかで折り合いをつけている。そういうことが上手になると、大人になったということではないか。それがいいことかどうかは、誰にもわからない。ただ、そういうものなのである。ただし、だから若いうちは社会が悪いような気がしている。社会を変えたい欲求がある。しかし社会の方は変わらず、自分が傷つくわけだ。おそらくそこから再生がある。人は生きているうちに、生まれ変わる機会があるのかもしれない。僕自身はそんな風に思うのが、引きずっているものはあるかもしれない。頑張って引きずっているものが多いと、こういう作品になるのかな、と思ったのだった。
コメント
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