マダム・マロリーと魔法のスパイス/ラッセ・ハルストレム監督
インドから移住してきた一家が、フランスにたどり着きインド料理店を開店する。その真向かいには、ミシュランの一つ星を獲得している格式の高いレストランが存在していた。このオーナーが優れた舌の持ち主であるが意地悪で、インド人に偏見をもって妨害する。インド人一家も対抗してレストラン戦争が勃発するのだった。
原作小説があるようだ。テーマは移民問題のようで、異文化とどのようにして折り合っていくべきかという話なのかもしれない。まあ、ちっとも折り合ってないようには見えるけれど。
なんだか演出はわざとらしいし、出てくる人たちの頭が皆悪い。人種間の偏見も激しく、行動が馬鹿げている。なんだかおかしいと思っていたら、この監督さんとディズニーだった。要するに調理の前に食材が悪かったのだ。
これでは結局フランスの権威主義が偉くて、インドは劣った国だという印象しか受けない。監督がそのように考えていることがにじみ出ていて、かなり残念な出来栄えであろう。楽しそうな雰囲気がありながら、人間関係のギクシャクは偏見前提の為に上手くいかない。結局料理は、人々を幸福になどできないということなんだろう。そんなことは無いと思うけどな。そう考えている人々がいる限り、なかなか難しいのである。
映画ではフランス料理の方が偉いようだが、インドはそんな国ではなかろう。ちゃんと勝負したら、結構戦えるのではなかろうか。というか、住み分けは可能なはずである。儲けることだけが人生の目的ではない。素晴らしい料理は、舌だけで味わうものではない。もう少し人間を勉強して、出直して来てほしいものである。