佐賀のことを書いたらことのほか反響が大きかった(当ブログ比)。身近な話題という事と、何か心に引っ掛かるものがあるのかもしれない。長崎との比較文法で茶化した訳だけれど、まあ、そこのあたりは分かりにくかったかもしれません。すいませんでした(いつものことだけれど)。
僕自身のことから話すと、佐賀が無ければ僕は生まれていない可能性が高い。何故なら父と母が出会った場所らしいから。父は佐賀大の最初の入学生(残念ながら最初の卒業生にはなれなかったようだけど)で、母はたぶん学校の近くで働いていたのだろうと思われる。詳しくはミステリーが多くて知りえないのだが(父は死んだし、母の話す内容は今一つ信用できない)、そのあたりで知り合っていたのは間違いなさそうだ。卒業後すぐに上京し所帯をもったという事だから、そう考えないとつじつまが合わない。
父は僕らがラーメンを注文すると、男だったらちゃんぽんを食え、といって叱った(たぶんたくさん食べて欲しかったのだろう。そうすれば大きくなるとでも思っていたのかもしれない)。けれど実はラーメンは好きだったようで、それも佐賀のラーメンがあんがい旨いんだよ、と言っていた。これは学生時代に佐賀でラーメンを食べていたためだろうと思われる。久留米や長浜もいいが、佐賀のラーメンが基本ではないか、という話もしていた。そこらあたりの詳しいことは知らないが、そうかもしれないと僕も思っている。
だいたい佐賀というのは、魏志倭人伝に出てくる大陸からの最初の渡航地であった末盧(まつろ)国であることは間違いなさそうで、今の佐賀の松浦から、さまざまな文化が日本に伝わった先進地であった。農産地としても恵まれていて、広い佐賀平野に豊かな実りをもたらした。そういう土地柄だったのに時代は流れ、いつしか辺境地になってしまった感がある。工業化に遅れ、人口流失が長く続いた。近代の明治になって、そのように落ちぶれた時代が続く。一時は長崎県に併合されていた時期もあり、その後分離独立を果たした。たぶんだけど、そういう事情がルサンチマンとして長崎県を嫌う根拠なのではないかとも思われる。
実は佐賀のことを見直したきっかけのような事があって、それはエッセイストの岸本葉子さんが佐賀のことを褒めていたからだ。岸本さんは出身は違うようだが、母親が佐賀とゆかりがあるらしい。それで佐賀との縁があって招待か何かされたらしい。で、なかなかいいところだというようなことを書いておられた。実は内容はほとんど覚えていないが、何故か感心してしまった。佐賀を褒める人が、そんなにいない所為かもしれない。
ファンでもなんでもないが、B’z(ビーズと読むらしい)というバンドの誰かが、鳥栖駅の構内あるうどんが好きだという。それでまた人気が出たらしい。実際はそんなにすごく旨い訳では無いが、確かに以前は福岡から長崎(僕は大村市だけど)帰る列車は、この鳥栖駅で長く停まった。仕方ないので時間つぶしに多くの人が、構内でこのうどんを食べた。僕が食べたのは実に寒い日で、このうどんで暖まって、そしてその時は旨いとも思った記憶がある。ただそれだけのことだが、佐賀では結構うどんを食うことが多く、そしておおむねそれなりに満足している。旨いのはラーメンだけでは無いのだ。(たぶん続く。不定期)