カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

昨年読んだお勧め本

2018-01-14 | なんでもランキング

 休刊になってしまったが「考える人」という季刊誌があって、そこで向井万起男が本を紹介するエッセイを楽しく読んでいた。実際に紹介された本もいくつか読んだが、圧倒的に読んで良かったと思われたのが、
病の皇帝「がん」に挑む/シッダールタ・ムカジー著(早川書房)
 だった。
 素晴らしい本の一言。上下巻の大部のものだが、読みだすと面白くて止まらない感じになる。そうしてものすごくためになる。医者じゃなくても読むべきは、絶対にこれだ。人間が癌と戦ってきた歴史は、人間がこれからも生きて行こうとする歴史に他ならない。ほんとに面白いんですってば。
 
 昨年は改めて福岡伸一の本も読んだ。この人の文章も素晴らしい。まだ読んでないのも読まなければ。

 ミステリは古いのを二つ。

スターリン暗殺計画/檜山良昭著(徳間文庫)
 は、歴史ドキュメンタリーっぽいもの。フィクションと断ってあるのに、本当の話に思えてならない。
刑事マルティン・ベック 笑う警官/マイ・シューバル、ペール・ヴァールー著(角川文庫)
 は、古い話だとは気付かなかった。こういう物語の掘り下げ方があるんだと感心してしまった。北欧の暗い世界というのは、九州の人間には大変に異質だった。

 他の本も売れているようだが、川上本はこれからも人気が続くのではないか。ユーモアがちょっと取っ付きにくいかもしれないが。
鳥類学者無謀にも恐竜を語る/川上和人著(技術評論社)

 謝罪の研究があるなんてまったく知らなかった。日本でもいろいろ研究して欲しいものだと思った。
怒りを鎮める うまく謝る/川合伸幸著(講談社現代新書)

 冲方丁にこんな体験があるなんて知らなかった。
冲方丁のこち留/冲方丁著(集英社インターナショナル)
 映画の「それでも僕はやってない」のような恐ろしい体験版だ。こんな話が自分に役立てることが無い人生を送りたいものである。

 今年(去年だった)はいろいろ忙しくて、特に人間関係がこじれた訳でもないのに少し気分が乗らないことがあった。それで手に取ったと思われるのだが、大変に助かったと思う。
「折れない心」をつくる40のルール/大野裕著(PHP研究所)
はじめての認知療法/大野裕著(講談社現代新書)
こころが晴れるノート/大野裕著(創元社)
 本当に平易な文章にしてあるが、内容が薄い訳では無い。この読みやすさで人助けができるかもしれないという渾身の工夫なのだろうと思う。

 読んで考えさせられたのはこれ。
自由とは何か―監視社会と「個人」の消滅/土屋雄裕著(ちくま新書)
 監視社会は恐ろしげな未来予想のようでいて、実は僕らはその社会を望んで身をまかせているのかもしれない。いろいろあって職場の車にもドライブレコーダーを付けてしまった。皆自らを守る為に、管理されることを望んでいるのである。

 読んで考えさせられたもう一つはこれ。
ぼくらはそれでも肉を食う/ハロルド・ハーツォグ著(柏書房)
 僕の関心のあるクジラのことは書かれていないが、西洋人が生き物に対していかに屈折しているのかよく分かる。そうして日本人もこの病に年々侵される人が増えてきている。僕はペットも飼っているので、ますます考え込んでしまいそうだ。

 これも考えさせられた。
垂直の記憶/山野井泰史著(ヤマケイ文庫)
 そこに山があるから、というのは、そんなに単純な冒険じゃないようだ。人間の生き方のすさまじさというのが、山登りにはあるのである。

 前野本は多少気負っている感じもあるが、読ませる。
「死ぬのが怖い」とはどういうことか/前野隆司著(講談社)
 確かに死ぬのは怖いが、逃げていても怖さは消えない。向かい合うという姿勢として、こういう考えもあるのだろう。
 
 最後は漫画だが、鬱がどういうものかかなり理解できると思う。
うつヌケ/田中圭一著(角川書店)
 抜けられないトンネルは無いと思いたい。人が頑張ることも、よく考えてみなければならないのではなかろうか。

 そういえば、と思いだすのは
騎士団長殺し/村上春樹著(文芸春秋)
 特に語ることは無いが、イベントなんで読まなければ。そしてやっぱりそれなりに面白い。文学賞がどうとかいうような作品でもないけど、村上作品は発表されるだけで意味があるようにも思う。また頑張って書いてください。
コメント
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