カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

自殺者は減らせるようだ 心理学で何がわかるか

2014-10-21 | 読書

心理学で何がわかるか/村上宜寛著(ちくま新書)

 答えを言うと、実にいろんなことがわかる。しかしながらこの心理学のもととなっているものを紐解くと、実に困難の歴史というか、実に多くの誤りを土台にして現在のあることがわかる。しかもその誤りの多くは、民間の常識としては、かなりそのまま残っているものが見受けられる。そうしてもっと驚愕すべきことは、日本の医学の現場においても、まだまだその昔信じられていて、すでに学問でもないものがまかり通っている現実もあるということだ。日本は心理学の世界からいって、かなり過渡期の後進国である可能性が高い。そのようなオカルト的なものが含まれている心理学の世界というものを理解する早道である。さらに人間の賢さや記憶や遺伝のこと、また統計学の考え方なども理解できる。要は心理学の世界に学問を取り戻そうということを一般の人にも伝えたい書物ということになるかもしれない。
 人の心理や、ましてや自分のことであっても、深層の心理から理解したいという欲求はあると思う。だからこそ、心理学というものが生まれたはずなのだ。以前やはり心理学の本を読んでいて、その著者自身が文中で、自分にはそもそも精神病の気があって、だからこそ興味があってこの世界に入ったということが書いてあった。おそらくこれを読んでいる読者にも身に覚えがあるのではないか、とまで書いてあった。実にドキリとする指摘で、実は僕もそのような気のようなことを考えることはある。ほとんど遺伝的だと思われるアルコール中毒問題も含めて、これは自分でも恐れていることかもしれない。
 ということなのであるが、ヒトの精神状態というのは病気も含め、かなりマニュアル化した調査で、それなりに正確にわかりえる状態にある。犯罪者予備軍だって、かなり正確に摘出可能だろう。しかしそういう状態にありながら、正確にそのことを理解して調査などが実施されているようには見えない。いまだに問診であてずっぽうに、いや経験的に診断して、薬などを処方している医師がほとんどだろう。そのようなマニュアルは、少しばかりかじりさえすれば、実は素人が用いても正確に診断が可能であるようだ。なぜ普及しないのかは知らないが、おそらく医師自体もそのことを知らない可能性もある。そういうことだけでも理解されるようになれば、たとえば旧共産国並みの日本の自殺率を下げることも可能かもしれない。それだけでもかなりショッキングな摘発だと思うが、そんな動きが日本に本当にあるのだろうか。ためにはなったのだが、なんだか不安にもなる啓発本なのではないだろうか。

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