カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

知らぬが…   廃市

2013-01-17 | 映画

廃市/大林宣彦監督

 ひとことで言うとひと夏の恋&ミステリー作品。というか、文学作品を映像でなぞったという感じかもしれない。
 柳川のまちは体験的に知っているので、このような退廃的な感じがちょっと不思議ということも言えるかもしれない。ウナギを食うべきだと思う訳だが、観光映画ということではなさそうだ。卒論を書きに静かなところに来たのだろうけれど、大人の目からすると、最初から見合いなのでは無かったのか、と思ったりする。いわゆる大人はあんまり登場しないのだけど、そのような大人の作為があって、ひと夏を過ごしたのではないだろうか。
 狭い社会の家の中の恋愛のミステリーがあるというのは、まあ、そうかもしれないし、いろいろ言い訳を聞いていて、どうでもよくはなってしまう。結果的にいちばん悲しい選択になってしまったということなんだろうけれど、単なる勘違いかもしれないとも思える。そんなに嫌なら逃げだせばいいのだけれど、貴族的な金持ち社会というのは、その生活から逃れられないものかもとも思う。日本は狭いというけれど、実はあんがい広いのにな、とも思うのである。外国だってあんがい遠くも無い。狭いのは狭い社会にいるという、個人の捉われ方に過ぎないのではあるまいか。
 このような文学的な感性の心地よさを表したかったということは分かる。田舎に住んでいる若い女に憧れる気持ちも分かる。実際にこのような物語はゴマンと描かれており、西洋作品でもそのような人間の精神の解放のようなものは、普通にあることだろいうことは分かる。日常に帰ると廃れるものらしく、だから思い出として貴重ということもあるかもしれない。場合によっては、後の人生にも影響が大きい。儚いが、しかし思いとしては強い。現実には無いものだから、いつまでも大切だということなのではあるまいか。単なる誤解かもしれないのだけれど、実はよく知らないから誤解したままでいられる。本当のことなんて知らないままが、しあわせなのである。
コメント
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