カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

日本版スラップスティックの原点   エノケンのちゃっきり金太

2013-01-04 | 映画

エノケンのちゃっきり金太/山本嘉次郎監督

 エノケンと言えば過去のものすごく有名な人だが、正直言って世代が違うのでぜんぜん知らない。偉大さだけは聞かされているという意味ではまったく知らない訳ではないが、本当に動いている存在を知らないのだからどうしようもない。大変な人気者だったというのは古い人には楽しそうに聞かされた事があるんだけれど、その言い回しのどこに面白さがあるのかはよく分からないのだった。
 そういう訳でこれがエノケンか、というのが率直な感想である。面白い顔つきには違いないが、わりにいい男ということも何となく分かる。多少小柄だけれど、小さいから面白いというのでも、無いかもしれない。動きが素早いので、それが面白いということなんだろうか。いや、単に駆けているだけで楽しい場面もあったから、まあ、それが面白いというのは間違いないが。
 時代もあるんだろうが、悪いながらの正義漢のようでいて、ギャンブルで負けて帳尻を合しているというようだ。侍はつまらない存在かもしれないが、怒るものも無理は無いし、謀反を起こそうという立場をとがめる視点もあるかもしれないが、事情があるんだから悪人側の方に部があるという感じもする。江戸後期なのに明治(なんだろうか)の流行歌を歌ったりしてなんだか無茶苦茶だが、そこのところも含めて洒落っ気があるということなのだろう。現代人の目からみて大爆笑という気分にはなれないが、この時代のおおらかな楽しさというのは良く分かる気がした。むしろ悪いことも含めて寛容で、変なところは大げさながらも、気分の上では愉快だというのがいい感じかもしれない。
 勝手な想像だが、庶民的にはいろいろ問題もある世の中だけど、エノケンを見るだけで気分が愉快になるというような事があったのかもしれない。子供たちはみんなエノケンのまねをして町中でもどこでもその芸を披露する。本物かどうかも関係なく、みんなでそれを楽しんで笑ったことなのだろう。
コメント
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