冬は歩くには適した季節だとは思う。歩くのは運動だから、しばらく歩いていると暑くなる。夏場はだから、歩いていると汗だくになり不快である。いや、汗をかくのは時には気持ちがいいが、着替えがめんどくさい。歩くのは運動とはいえ、軽いからいつでも出来る訳で、いちいち身構えたくない。歩いた後に、シャワーを浴びるなどの時間的余裕も無いまま歩きだすのは危険だというのなら、わざわざ歩くその第一歩目を躊躇してしまいかねない。そういう訳で、その第一歩目が軽いのが冬である、と言いたい訳だ。
しかしながら、寒いというのは同時に、その第一歩が精神的に重い季節でもある。寒いとそもそも外に出たくない。いくら南国九州だとはいえ、真冬の外は寒いのである。日中は日が照って、ぽかぽかと気持ちの良い日もある訳だが、本格的な寒さの日というのは、どんより重たい寒さが降りかかっている。「北風と太陽」という話では、服を脱がすという賭けだから太陽が勝ったけれど、そもそも太陽に有利な条件だったというだけの話という気がする。北風のもとに人は時折殺されることもある訳で、もちろん暑くても人は死ぬかもしれないが、本当に恐れているのは寒さに違いないのである。
さらに朝の暗いことくらいこと。6時半に目が覚めても真っ暗じゃないか。時計を確認しないと起きる気になれない。朝の散歩を敬遠したために、昼にその分挽回できるかといえば、ハードルが高く感じるだけのことである。一日トータルは、やはり刻んでナンボなのかもしれない。
散歩の時間帯が変わったので、朝の杏月ちゃんの反応も変化した。なかなか起きない僕にもどかしい視線を送っている。外に出ると寒がるくせに、家の中では外に出たい。ワンちゃんにもなかなか複雑な心境の季節であるらしい。