犬のごとく暮らす

2019-06-07 | 【断想】ETC
 紀元前ヘレニズム期、古代ギリシアの哲学の一派に犬儒学派(キュニコス派)がある。
 この「キュニコス」は、ギリシア語で、「犬のような」の意味をもつとのこと。
 また、「シニカル」は、「キュニコス」に由来している。
 キュニコス派の哲人たちは、物事に動じない精神をもつことを目指し、そのために、肉体的、精神的な鍛錬をしたという。世俗の欲望から解き放たれようとし、自足の暮らしの実践を旨とした。
 その実際のさまは、乞食のような貧乏暮らし、まるで犬のような生活となる。
 最近で言えば、みかけは、路上生活者と言ったところか。
 それで、次のような詩でからかわれたりもする。
 いにしえのルーキーリオスなる方の「犬儒派の哲学者に」と言う詩(沓掛良彦訳)。
 冒頭のメネストラトスがどんな人だったかは、知らないのだが。
  メネストラトスさんよ、
  あんたが犬儒派で裸足で
  おまけに寒さにふるえてるつてることは
  ちつとも否定はしないがね、
  でも、あんたがパンだのそのかけらなどをくすねたら、
  この杖でどやしつけますぜ。してあんたは、
  ただの犬つてことになるんだよ。
 この派は、ソクラテスの弟子であったアンティスネスを祖とし、シノペのディオゲネス、テーバイのクラテス、ポリュステネスのビオン、メニッポス、女性のヒッパルキアらがいる。

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