面なの舞
2021-05-27 | 読書
謡曲「定家」を読む。
金春禅竹の作とされ、古くは「定家葛」とも言った。
主人公は、式子内親王の亡霊である。
フィクションでのことではあるが、式子内親王の生涯は、「面なの舞」だったのかと思う。
舞台は、花の都の千本あたり、藤原定家が建てた「時雨の亭」、式子内親王の塚があるあたり。
藤原定家の「邪淫の妄執」が、葛となって、式子内親王の塚にまとわりつくのを、旅の僧が読経をもって慰めるというストーリーである。
「憂き恋せじと御祓せし、・・・」式子内親王であつたが、藤原定家と契りをかわし、死して後も、「御覧ぜよ、身は仇波の立ち居だに、亡き跡までの、苦しみの、定家葛に身を閉じられて、かかる苦しみ隙なき所に、・・・」と言うことであったのである。
やるせない話であり、人の愛の妄なることを思う内容である。
でも、全体として、インパクトが薄い感じがする。
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