森の紅葉と鹿

2006-12-02 | 【樹木】楓
 今、わが故郷の金沢の猿丸神社の欅は枯葉を散らしているだろうか。
 百人一首の猿丸大夫の歌。
 「おくやまに紅葉踏分なく鹿の声きくときぞあきは悲しき」

 「鹿」という村野四郎の詩。

 鹿は 森のはずれの
 夕日の中に じっと立っていた
 彼は知っていた
 小さい額が狙われているのを
 けれども 彼に
 どうすることが出来ただろう
 彼は すんなり立って
 村の方を見ていた
 生きる時間が黄金のように光る
 彼の棲家である
 大きい森の夜を背景にして

 この時代を隔てた歌と詩と、どうだろうか。おおらかさ、深い悲しみ。