プラトンの「饗宴:シュンポシオン」を中澤務訳で読むことにした。
2013年9月20日発行の光文社〔古典新訳〕文庫である。
紀元前4世紀の作品で、題名の「饗宴」は、当時の宴会で、男たちがクリネという寝椅子に身を横たえ、ワインを飲みながら行われた。
プラトンの「饗宴」は、高尚な宴会のさまをなし、そこでは、“エロス”について語り合われる。
いわゆる猥談、エロ話のようなものではなく、愛の神である“エロス”をどのようにとらえるかである。
“エロス”賛美が展開される。
これから、読み進めるのはいいが、一般的に“エロス”と言ったとき、どのように捉えるのがいいか、基礎的なことを確認しておきたい。
ギリシア神話では、12柱の神々が、オリュンポス山の山頂に住んでいると伝えられていた。いわゆる「オリュンポス12神」である。その神々は、通常以下の通りである。
・ゼウス
・ヘーラー
・アテーナー
・アポローン
・アプロディーテー
・アレース
・アルテミス
・デーメーテール
・ヘーパイストス
・ヘルメース
・ポセイドーン
・ヘスティアーorディオニューソス
そして、エロスは、アフロディテから生まれたとの記述にも接する。
そういうことなのだろうが、“饗宴”では、次のように記されている。
第2章で、カオスから、ガイア(ゲー)とエロスが生まれたとある。最も古い神のひとりとある。
末尾で、以下のようにまとめられている。
「・・・・ようするに、エロスは神々の中で最も古く、最も尊い神であり、人間が勇気と幸福お手に入れようとするときには、生きているときであれ死んでからであれ、最も大きな力になってくれる神なのです」
第3章では、エロスは二人いる、アフロディテとエロスは一心同体、アフロディテも二人いる、アフロディテは〈天のアフロディテ〉と〈俗のアフロディテ〉・・・とある。
ここらのこと、視覚デザイン研究所編「ヴィーナスの片思い・神話の名シーン集」に分かりやすくあったと思って開いてみた。
カオスからガイア(大地)が現れ、ガイアは、ウラノス(天空)とポントス(海)を生む。ガイアは、息子のウラノスと交わって、大勢の子供たちを生む。
このように、ややこしい出生がつづく。
とても、面白いが、何が定説なのかと迷うことになる。
さて、プラトンの「饗宴」は、あれこれ思わず、そのままを素直に読んだ方がよさそうである。