式子内親王・まちまちて夢かうつつかほととぎすただ一声のあけぼののそら
このような歌に接するとホッとする。
でも、まぎれもなく内親王の歌である。
夢、うつつ、ほととぎす、一声、あけぼの、空、これらの単語が示している。
さて、2021年、わたしは、住まいの窓からほととぎすの声が聞けるだろうか。
式子内親王・日にちたびこころは谷になげはててあるにもあらずすぐる我が身は
日に千度、幾度となく
谷間に身投げならぬ心投げをしてしまいます
こうして生きていますが、その実感がまるでないまま過ごしています
このような歌を詠まれた式子内親王のこと、なんと言うことだろう!
式子内親王・つかのまのやみもうつつもまだしらず夢からゆめにまよひぬる哉
恋の歌だそうだ。
聞けば、そうとも思える。
ただ、わたしはそうは感じなかった。
人のこの世の歩みを歌ったように聞こえた。
はかなく、みじかい人生。
何もわからないまま。
夢から夢へと迷うだけ。
式子内親王・はかなくてすぎにしかたをかぞふれば花にもの思ふ春ぞへにける
過ぎ去った日々、逝ってしまった友の多いこと。
花をめで、ともにたわむれた日々が遠くなってしまった。
※今日からしばらくは、式子内親王の歌にふれながらの断想になるかな。