梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

業界の危機感

2017年08月12日 06時31分37秒 | Weblog
英・仏政府が2040年までにガソリン車やディーゼル車の国内販売を禁じる方針を決めました。その背景には環境規制などのルール変更があります。そして、トヨタ自動車とマツダは電気自動車(EV)の共同開発を視野に資本提携をしました。

EVへのシフトや自動運転など、大きな変化の中でトヨタですら逆風が吹き、生き残りを模索しています。『車、110年目の大転換』と新聞には書かれています。つまり大量生産車T型フォードの誕生から約110年、大転換期に直面している従来の自動車業界の危機感があります。

車の本質まで変えてしまうEV化や自動運転は、自動車業界にとって前例なき闘いと言われているのは、ITやAIを駆使して車の産業構造を一変させ技術革新を仕掛けてくる、グーグルやアップル等異業種との対抗になるからです。

このEV化の波が鉄鋼業界及ぼす影響について、特に我々店売り流通にとっては、まだ対岸の火事のような捉え方が大半です。しかし鉄鋼メーカーにとると、リチウムイオン電池を大量に搭載するEVは、ガソリン車に比べ重くなり、自動車の主要部材を重い鉄から軽い素材に置き換える動きが、加速する可能性があります。

更に、従来のエンジン車の部品点数は約3万個、EVではその部品の約4割が不要になるとの試算があります。全て鉄の部品とは限りませんが、他の産業より裾野が広い自動車産業であれば、我々の鉄鋼加工流通まで近い将来影響がでると、考えた方が今から備えができます。

私の知人で、自動車解体業の社長がいます。先代が起こした会社を、自動車部品リサイクル業に発展させ、加えて、自社で再生部品を組み合わせ一台のあらたな車を造りレンタルまでしている、二代目経営者です。

私が長年乗っていたプリウスのエンジンに、去年異常が発生しました。正規のディーラーへ修理に出すか、中古エンジンを載せ換えるかの選択をしました。結局、その会社から提供された中古のエンジンを載せ換え、現在車は順調に走っています。

いずれEVが出回れば、エンジン関係の部品のリサイクルは限りなく減少していきます。少子高齢化に伴って車の保有台数が減り続ければ、使用済自動車自体も減ってきます。これまで業態を変え事業を伸ばしてきたその社長も、何か手を打たなければと、今までには無かった危機感を募らせています。

テレビで放映された“リーダーズ”は、世界一の国産乗用車を作るという夢に邁進した、トヨタ自動車の史実に基づいたドラマです。今年創業80年となるトヨタは、世界の自動車業界で名実共にリーダー企業となりました。

そのトヨタの起源は自動織機のメーカーです。因みにマツダの前身は、ビンに使用されるコルクのメーカーだったそうです。その業界で現在はリーダー企業でも、歴史を遡れば、過去において大変革期があったと言うことです。

より豊かな営みを求める人間の進歩は、留まるところをしりません。世の中に合わせ、変化させるところは躊躇わず、しかし変化させないところも見極め、わが社は行動を優先していきたく思います。

高速道路のパーキングにあるEV充電スタンド
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