梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

良き習慣のつみ重ね

2016年03月12日 09時34分38秒 | Weblog
私の知人で運送会社を経営している方がいます。その会社は4ヶ月に一回、日曜日に全ドライバーを集め安全会議をしています。集まるドライバーや管理職は、総勢70名程になります。各部門の長の実務報告が終わった後は、社長の話しがあります。

先日行われたこの会に私は誘われ参加させてもらいました。今回はその社長のお父様の会長も参加されていました。部外者として何故私が誘われたかと言いますと、会長の知り合いで刑事を経験された方が特別に講演されるとのことで、声を掛けてもらいました。

この会長がかつて社長だった時代に、地元の警察署が主催した安全運転管理者の会合で知り合って互いに意気投合して、以来お付き合いが続いている間柄です。講演されたその方は、昭和30年代に警視庁に入り、交番勤務の後捜査係りとなり盗犯や暴力団担当の刑事となり、機動隊や交通捜査等も歴任され15年前に警視庁を退職されて、現在は民間会社の総務人事部に再就職されています。

講演は感動そのものでした。我々の知ることがない、いわば裏の世界を熟知して貴重な体験をされているのでしょうが、それを自慢したり手柄話としたりせずに、ユーモアを交えて本音で話されました。

「訓練でピストルを撃ったことはあるけれど、実際に人を撃ったことはないと仰っていましたが、いざ発砲する時は死を覚悟していました」。との話は、常に身の危険を意識して、死と隣り合わせの仕事をされていたことを窺わせます。

『泥棒上がりの警察官は泥棒をよく検挙する』、との言葉があります。暴力団担当が長い刑事は、顔つきも服装も暴力団に似てくるのは本当だと話されていました。思考そのものをそこへ移し込んで、逆から探ることをしているので、様相が似てくるのでしょう。

“良き習慣のつみ重ねが君の人生を豊かにする”と、ご自身の考えを書かれた紙をホワイトボードに貼られました。公職を去られて15年経っても、街中で諍いなどがあると、「気になり、介入してしまう」と話されました。世の中の治安や人の命を守る長年の使命感が、良き習慣となっている証です。

「今年軽井沢のスキーバスの事故で、亡くなられた娘さんの遺体の顔に一筋の涙の跡があったとの記事に接し、涙が溢れてしたがなかった。無念さや、何かを両親に訴えたかったのでしょう」。幾多の修羅場を経験された中で、そんな情の深さも伝わった一時間半の講演でした。


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