ヤクルト・山田哲人内野手が六回、今季30個目となる盗塁を決め、打率3割、30本塁打、30盗塁達成による「トリプルスリー」をほぼ確実にした。打率についてはシーズン終了まで確定しないが、現在の成績から3割以上をキープする可能性が高い。この記録は以前にも書いたが、史上9人目の快挙。最近では02年に松井稼頭央(当時西武)が達成している。またセ・リーグでは00年の金本知憲(当時広島)以来。
信じられないニュースが・・・。JRA屈指の個性派ジョッキーが、出身地である北海道での今夏の開催が終わり、静かにムチを置くことになった。それはダービージョッキー・藤田伸二(43)。今日、騎手免許の取消申請を提出したことをJRAが発表した。結果的にラストレースは6日の札幌7R(イキオイ10着)で、昨日の札幌2R・ジョルジュサンクが騎手生活で最後の勝利となった。
藤田は91年にデビューし、39勝を挙げてJRA賞・最多勝利新人騎手を獲得。翌92年の【エリザベス女王杯】(タケノベルベット)でGⅠ初勝利を飾り、96年には弱冠24歳でフサイチコンコルドを駆って【ダービー】を制覇した。その後も勝利を積み重ね、JRA通算1918勝は歴代8位、現役では武豊、横山典、蛯名、柴田善に次ぐ5位。GⅠ・17勝を含む重賞93勝も歴代5位の記録となる。
勝ち星も凄いが、フェアプレー騎乗にこだわり続けたことでも知られる藤田。04年には史上最年少で特別模範騎手賞(東西いずれかで勝利数、獲得賞金、勝率の各部門のなかで5位に入り、かつ制裁が0点の騎手)を受賞し、10年には史上初となる2度目の同賞に輝いた。97年から07年まで11年間、走行妨害による騎乗停止はゼロ。フェアプレー賞は史上最多の19回を数えた。また一方で騎乗馬のジャッジ以外にも「言いたいことを言う」という姿勢を貫きJRAへの提言など歯に衣を着せぬ発言、発信力で存在感を魅せていた。僕の藤田の思い出は【有馬記念】のシルクジャスティス、【高松宮記念】のマサラッキ、【スプリンターズS】のローレルゲレイロ、【天皇賞・春】のヒルノダムールかな。あっ、スターマンとか、ムッシュシェクルという個性派もいたなぁ。とにかくお疲れ様でした!
今日の重賞を振り返る。新潟11Rで行われた【第51回新潟記念】は、僕が本命に推したM・デムーロ騎乗の6番人気パッションダンス(牡7歳・友道康夫厩舎)が柴田大騎乗のマイネルミラノとのゴール前の激しい争いを制してV。タイムは1分58秒2)。レースはマイネルミラノが先手を取ったが、3コーナー手前でアーデントが外めを通って先頭に立つ。マイネルミラノは2番手に控え、パッションダンス、マジェスティハーツ、メドウラークなどがその後ろに続いた。直線に入ると、マイネルミラノが早めに先頭を奪い返し、押し切りを図ったが、追撃してきたのがパッションダンス。写真判定の結果、パッションダンスがアタマ差先着した。2着は9番人気のマイネルミラノ。さらに2馬身1/2差の3着には13番人気のファントムライトが入り(これが余計だった)、波乱の決着となった。
勝ったパッションダンスは状態も上向いていたし、馬場も合ったのだろうが、デムーロの好騎乗も光った。ただGⅠとなると・・・。2着マイネルミラノは完璧な騎乗だった。それで差されたのだから、諦めるしかない。並はあるが馬に能力がある。3着ファントムライトには驚いた。3コーナーでゴチャついたところがあったが、それがなければもっと惜しかったかもしれない。力をつけているのは4着ロンギングダンサー。展開に注文がつくが、馬ごみにも入れたし、今後が楽しみになった。
パッションダンスは、父ディープインパクト、母キッスパシオン(母父ジェイドロバリー)という血統。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬で、金子真人ホールディングス(株)の所有馬。通算成績は17戦6勝。重賞は【新潟大賞典】(2013年)に次いで2勝目。友道康夫調教師は昨年のマーティンボロに次いで【新潟記念】2勝目、ミルコ・デムーロは初勝利。
小倉11Rで行われた【第35回小倉2歳S】は、岩田康誠騎乗の1番人気シュウジ(牡・橋口弘次郎厩舎)が4コーナー先頭から力強く押し切ってV。無傷の3連勝で重賞勝ちを果たした。タイムは1分8秒9。レースはオフクヒメが先手を取り、快調に飛ばしたが、スタートでやや立ち遅れ気味だったシュウジもすぐにリカバリーして好位のインに取り付く。シュウジは4コーナーで外に持ち出すとあっさりとオフクヒメをかわして、あとは独走。激しい2着争いを尻目にゆうゆうと押し切って、小倉2歳チャンプの座に就いた。岩田康誠は前日の【札幌2歳S】(アドマイヤエイカン)に続く2歳重賞V。2馬身1/2差の2着には7番人気のサイモンゼーレが入り、さらにクビ差の3着が6番人気のレッドラウダだった。
勝ったシュウジは強い競馬だった。レースぶりに幅が出たし、今後はさらに大きいレースを狙っていけそう。2着サイモンゼーレはもっと内枠なら際どかったのかもしれないが、ただ力はやはり劣る。3着レッドラウダはこのような馬場が合うのだろう。もう少し揉まれると馬っぷりがいいだけに上のクラスでも・・・。僕が本命に推したレッドカーペットは4着。ハナに行くかと思ったが中団からの競馬。競馬を観ていたらもう少し距離が合ったほうが良いのでは・・・。
シュウジは、父キンシャサノキセキ、母カストリア(母父Kingmambo)という血統。北海道日高町・浜本牧場の生産馬で、安原浩司氏の所有馬。通算成績は3戦3勝。重賞初勝利。橋口弘次郎調教師は1986年サンキンハヤテ、98年コウエイロマンに次いで【小倉2歳S】3勝目。宮崎県出身の名伯楽が、小倉最後の夏を見事に飾った。岩田康誠は初勝利。
来週からはいよいよ中央競馬。徐々にGⅠに向けての馬も出走してくる。今年の夏は小倉が散々だったが、札幌、福島がプラス収支。新潟、中京、函館もいつもの年に比べ悪くなかった。秋競馬もこの調子なら何とかなるのではと思っているのだが・・・。