まずは《ブタペスト世界陸上》。男子マラソンで日本歴代3位のタイムを持つ26歳・山下一貴(三菱重工)が2時間11分19秒の12位で日本勢トップとなった。40㌔過ぎまで5位を快走していたが、突然両脚の痙攣で2度失速するアクシデントに見舞われ、順位を落とした。2013年《モスクワ大会》の中本健太郎(安川電機)以来、日本勢5大会ぶりの入賞を惜しくも逃した。山下はレース後「申し訳ないです。入賞できたと思ったんですけどね…なかなか難しいですね」と苦笑い。「左足のふくらはぎがつって、気にしながら走ったら右足もつってしまった」とアクシデントのシーンを振り返った。「また帰ってきます。次はメダルを目指して頑張りたい」と話したが、その走りは《パリ五輪》でのメダルも期待できるのではないかと思わせる激走だった。トラック競技ではメダルの期待が高かった《男子400mリレー決勝》に出場した日本(坂井、柳田、小池、ザニブラウン)は37秒83の5位となり、2大会ぶりのメダル獲得を逃した。37秒38だった米国が優勝した。日本は、3走の小池から4走のサニブラウンへのバトンパスがスムーズにいかず、5位。2021年《東京五輪》を含めると主要世界大会で3大会連続表彰台を逃す結果となった。残念!また注目の田中希実が走った《女子5000m》は8位入賞。1997年《アテネ五輪》の弘山晴美以来、26年ぶりとなった。レースは14分37秒98の日本記録を樹立した予選とは、また違った“凄み”が凝縮された5000mだった。ペースが上がったと思ったら一気にスローに下がる我慢比べ、そのアフリカ勢の揺さぶりにもしっかり対応した。ラスト勝負でメダル争いには加われなかったが、一時は6位にまで浮上した。ラスト2人に交わされたものの最後まで粘り切って8位入賞を死守した乗ら立派だった。
続いてゴルフ。国内女子ツアー《ニトリレディスゴルフトーナメント》最終日。地元北海道出身の菊地絵理香が今季初、昨年7月《大東建託・いい部屋ネットレディス》以来のツアー通算6勝目を挙げた。雷雲接近など荒天のため、途中まで進行していた最終ラウンドが中止となり、第3ラウンド終了時に首位だった菊地、申ジエ(韓国)、岩井明愛との3人プレーオフを実施。菊地は17番(パー3)を使用した1ホール目、1オンに失敗したが2mのパットを沈めてパーセーブし、ボギー以上となった申ジエ、岩井を振り切った。国内女子ツアーで最終日に最終ラウンドが中止となり、プレーオフが行われたのは2021年10月《富士通レディース》以来6度目。賞金は100%支払われるが、賞金ランク加算は75%。年間ポイントレースのメルセデスランキングは4日間大会のままとなる。
米国女子ツアー《CP女子オープン》3日目。単独首位から出たメーガン・カンが6バーディ、2ボギーの「68」でプレー。後続との差を3打に広げる通算11アンダーでその座を守り、ツアー未勝利の25歳が初タイトルに王手をかけた。一時は首位を譲ったが、後半14番からの3連続バーディで再びトップを奪い返した。通算8アンダーの2位に、前半8番(パー3)でホールインワンを達成するなど「67」をマークしたキム・セヨン(韓国)。通算6アンダーの3位に2019年大会覇者のコ・ジンヨン(韓国)が続く。2打差の3位から出た笹生優花は3バーディ、3ボギーの「72」と伸ばせず、ジョージア・ホール(イングランド)と並ぶ通算5アンダーの4位に後退した。11位スタートの古江彩佳は1バーディ、3ボギーの「74」で通算1オーバーの24位。畑岡奈紗も21位から「74」と落として通算2オーバーの34位。渋野日向子は2バーディ、4ボギーの「74」とし、通算5オーバーの53位となった。少し差が広がったが、笹生の優勝のチャンスは十分可能。是非最終日に爆発してほしい。
国内男子ツアー《SansanKBCオーガスタ》最終日。首位から出たソン・ヨンハン(韓国)が6バーディ、1ボギー1ダブルボギーの「69」でプレーし、通算17アンダーで制した。2016年1月の《SMBCシンガポールオープン》以来となるツアー2勝目を挙げた。長野竜太郎が通算16アンダー2位。同じく首位から出た宮里優作は5バーディ、5ボギーの「72」と伸ばせず、勝俣陵、鍋谷太一、鈴木晃祐と並ぶ通算14アンダー3位で終えた。石川遼は通算10アンダー16位、前年大会覇者の河本力は通算8アンダー24位。 ソン、宮里とともに首位から出た小林正則は「79」と崩れて、今平周吾らとともに通算7アンダー28位。賞金ランキングトップの中島啓太は通算6アンダー35位で大会を終えた。ソンは隙のないゴルフだった。今日のゴルフを観ていたら、もっと勝っていい選手。これをきっかけにもっと活躍してほしい。
米国男子ツアープレーオフ第3戦(最終戦)《ツアー選手権》3日目。首位タイから出たビクトル・ホブラン(ノルウェー)が5バーディ、1ボギーの「66」で回り、通算20アンダーの単独首位。フェデックスランキング2位で迎えたプレーオフ最終戦で6打のリードを築き、2週連続優勝と初の年間タイトルの可能性を広げた。速さを増すグリーンに手こずる選手が多いコースコンディションで、ホブランは前半に2つ伸ばしてハーフターン。午後雷雲接近による約1時間15分の中断を挟んだが、再開明けの12番から2連続バーディを奪って勢いを保った。通算14アンダーの2位にこの大会と相性のいいザンダー・シャウフェレ。通算13アンダーの3位に首位から「73」とスコアを落としたコリン・モリカワとキーガン・ブラッドリーが続く。フェデックスランク1位のスコッティ・シェフラーは、ジョン・ラーム(スペイン)、ウィンダム・クラークと並ぶ通算11アンダーの5位。大会連覇と年間タイトル防衛がかかるロリー・マキロイ(北アイルランド)は6打差7位からスタートし、2バーディ、3ボギーの「71」。通算9アンダーの8位に後退して最後の18ホールに入る。少し差が開いたが、シャウフェレの逆転の可能性はある。最後まで良い試合を!
今日の競馬を振り返る。新潟11Rで行われた【第43回新潟2歳S】は、北村宏司騎乗の1番人気アスコリピチェーノ(牝・黒岩陽一厩舎)がデビューから無傷2連勝。スタートやや遅れるも中団の外めを確保すると、直線で横に大きく広がった馬群の中から力強い末脚を繰り出し先頭でゴール。暮れのGⅠ、来春のクラシックへ期待が膨らむ勝利となった。北村宏は2018年8月の【関屋記念】(プリモシーン)以来、約5年ぶりのJRA重賞制覇。タイムは1分33秒8。1馬身差の2着には逃げ粘ったショウナンマヌエラ(10番人気)、さらに1馬身遅れた3着にクリーンエア(4番人気)が入った。
勝ったアスコリピチェーノは、父ダイワメジャー、母アスコルティ(母父Danehill Dancer)という血統。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬で、馬主は(有)サンデーレーシング。通算成績は2戦2勝。重賞は初勝利。黒岩陽一調教師は【新潟2歳S】初勝利、北村宏司は00年ダイワルージュに次いで2勝目となった。
また札幌11Rで行われた【第18回キーンランドカップ】(サマースプリントシリーズ第5戦)は、浜中俊騎乗の1番人気のナムラクレア(牝4歳・長谷川浩大厩舎)が差し切って重賞4勝目。【スプリンターズステークス】の優先出走権を獲得した。タイムは1分9秒9。1馬身差の2着は逃げて粘ったシナモンスティック(8番人気)。さらにハナ差の3着に僕本命のトウシンマカオ(2番人気)が入った。
レースはシナモンスティックがハナを切る。ヴァトレニが2番手につけ、レッドベルオーブ、ジュビリーヘッド、シュバルツカイザーなどが好位集団を形成。人気のナムラクレアは中団の外からレースを進めた。4コーナーでは内、中、外と各馬の進路がバラバラになったが、シナモンスティックはしぶとい粘りを発揮。ここにシュバルツカイザー、トウシンマカオなどが食い下がるところへ、外からナムラクレアが末脚を伸ばしてくる。最後は激しい2着争いの3頭を尻目に、ナムラクレアがきっちりと差し切って快勝。全て6ハロン戦での重賞4勝目を挙げた。
ナムラクレアは、父ミッキーアイル、母サンクイーンⅡ(母父Storm Cat)という血統。北海道浦河町・谷川牧場の生産馬で、馬主は奈村睦弘氏。通算成績は14戦5勝。重賞は2021年【小倉2歳S】、22年【函館スプリントS】、23年【シルクロードS】に次いで4勝目。【キーンランドC】は長谷川浩大調教師、浜中俊ともに初勝利となった。
また札幌で行われていた【ワールドオールスタージョッキーズ(WAJS)第3戦】(2勝クラス、1700mダート)は、フランスのマリー・ヴェロンとコンビを組んだナチュラルハイ(牡3歳・黒岩陽一厩舎)が4コーナーで外から一気に進出してそのまま後続を引き離して1着。ヴェロンJRA初勝利を飾り、ゴールでは大きなガッツポーズを掲げた。2着は岩田望来のイーサンバーニング。3着には武豊のニャンチンノンが入った。また札幌12Rで行われた【ワールドオールスタージョッキーズ(WAJS)第4戦】(2勝クラス、1800m芝)は、フランス出身、香港拠点のアレクシス・バデルとコンビを組んだフェステスバント(牝3歳・藤岡健一厩舎)が1着。バデルはこれがJRA初勝利となった。2着はC・ルメールのウインシュクラン。3着には岩田望来騎乗のウインルーアが入った。個人戦のポイント争いは、最終戦で最低人気のウインルーアを3着に導いた岩田望来が4戦合計で56ポイントを獲得。55ポイントのレイチェル・キング、54ポイントの武豊との大激戦を制した。天晴れ!岩田望来!
今日の一口馬。オランジーが札幌4R【3歳未勝利 (牝)】(1700mダート)に出走して8番人気3着となった。騎乗したリスポリは「ゲート内での駐立はあまり良くなかったですが、ゲートは出てくれましたし、調教師から前々で競馬を進めて欲しいと言われていたので、控えずに行きました。道中は勝ち馬の後ろで競馬を進めていたのですが、キックバックを少し気にする面がありましたね。直線でも砂を被るとやや怯んでいたのですが、被らなくなるとまた伸びてくれました」とのこと。人気以上の走りだったが、未勝利勝ちにはならなかった。来週使うのか、地方に行くのかなどはまだ未定だが、どんな結果になろうともクラブの判断を真摯に受け取るつもりだ。