まずはマラソン。《大阪国際女子マラソン》は17年《ロンドン世界陸上》1万m代表の松田瑞生(ダイハツ)が、2時間20分52秒で2大会ぶり3度目の優勝。今夏の《オレゴン世界陸上》の派遣設定記録(2時間23分18秒)を上回り、代表入りに前進した。これで24年《パリ五輪》代表選考会のMGC(23年秋)の出場権も獲得し、五輪の舞台へ、確かな一歩を踏み出した。2位は自己記録の2時間22分29秒の上杉真穂(スターツ)で、3位には松下菜摘(天満屋)が2時間23分05秒、4位には谷本観月(天満屋)が2時間23分11秒で入った。日本人2位以内で2時間23分18秒以内でゴールした上杉は、松田同様《オレゴン世界陸上》の派遣権利を獲得。そして3位の松下、4位の谷本、5位阿部有香里(しまむら)、6位佐藤早也伽(積水化学)が《パリ五輪》選考会となるMGCの出場権を手にした。このレース、もう一つ注目があった。ペースメーカーとしては川内優輝が第2集団を、先行集団には青学時代に“山の神”と呼ばれた神野大地(セルソースアスリート)が走った。第2集団には川内とともに2時間8分3秒のタイムを持つ寺田夏生(JR東日本)もペースを作ったが、これだけ豪華なペースメーカーはなかなか見られない。大会側の粋なプレゼント、マラソンファンにとってはちょっと嬉しいものだった。
卓球の話。《2022年全日本選手権大会》男子シングルス。決勝には松平健太(ファースト)と戸上隼輔(明治大)が進出。20歳の戸上と30歳の松平は、共に日本代表に選出されたことのある実力者。一進一退の攻防が続くが僅かに戸上が松平を上回り、ゲームカウント4-2で勝利。男子シングルス悲願の初優勝を果たし、男子ダブルスと合わせて2冠を達成した。女子シングルスは伊藤美誠(スターツ)が3年ぶり3度目の優勝を飾った。決勝で初の3冠を狙った早田ひな(日本生命)を4―1で下した。戸上の優勝は張本と共に日本を引っ張るエース候補に名乗りを上げた結果に。伊藤は圧倒的な貫録を見せた。今の力は石川、平野より数段上だろう。戸上、伊藤天晴れ!
競馬。東京11Rで行われた【第36回根岸S】は、岩田康誠の6番人気テイエムサウスダン(牡5歳・飯田雄三厩舎)が中団追走から直線で外に持ち出されると、鞍上のゲキに応えるようにグングンと伸びて差し切りJRA重賞初制覇。2月20日【フェブラリーS】の優先出走権を獲得。岩田康は、史上14人目、現役では7人目のJRA通算1700勝を達成した。タイムは1分23秒1。1馬身差の2着には好位追走から脚を伸ばした武豊のヘリオス(4番人気)、さらに半馬身遅れた3着に最後方から直線で猛然と追い込んだタガノビューティー(2番人気)が入った。なお、重賞連勝を狙った1番人気のソリストサンダーは9着に敗れた。
テイエムサウスダンは相当力をつけている。交流重賞とはいえ、地方馬の力が上がっている現状、侮ってはいけない。今日の競馬を見る限り、マイルも問題ないと思う。2着ヘリオスは旨い競馬ができた。最後も止まっていないが、一頭強い馬がいた。3着タガノビューティーの末脚は秀逸だった。もう少し前がやり合ってくれれば・・・。力はある。
テイエムサウスダンは、父サウスヴィグラス、母ムービングアウト(母父Langfuhr)という血統。北海道新ひだか町・グランド牧場の生産馬で、馬主は竹園正繼氏。通算成績は18戦9勝(うち地方6戦4勝)。重賞は19年【兵庫ジュニアGP】、21年【黒船賞】、【オーバルスプリント】、【兵庫ゴールドT】に次いで5勝目。【根岸S】は飯田雄三調教師が初勝利、岩田康誠は08年ワイルドワンダー、09年フェラーリピサに次いで3勝目となった。
一方、中京11Rで行われた【第27回シルクロードS】は、池添謙一の2番人気メイケイエール(牝4歳・武英智厩舎)がこれまで常に付きまとっていた“気性難”の課題を克服して重賞4勝目を挙げた。タイムは1分8秒1。1馬身差の2着に直線で外から末脚を発揮した7番人気のシャインガーネット、さらにクビ差遅れた3着にはこちらも直線で脚を伸ばした3番人気のナランフレグが入った。なお、レース直前で1番人気になった良血のカレンモエは7着に敗れている。
勝ったメイケイエールだが、道中引っかかるところもあり、万事休すかと思ったが、よく我慢した。あれでこれだけ強いのだから、力は相当。こういう癖馬の騎乗はやはり池添は旨い。2着シャインガーネットは左回りが良いようだ。1200mも合いそうだし、【高松宮記念】もひょっとしたら・・・。3着ナランフレグは中京のコースは合う。最後は足色が鈍った。
メイケイエールは、父ミッキーアイル、母シロインジャー(母父ハービンジャー)という血統。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬で、馬主は名古屋競馬(株)。通算成績は9戦5勝。重賞は20年の【小倉2歳S】、【ファンタジーS】、21年の【チューリップ賞】に次いで4勝目。【シルクロードS】は、管理する武英智調教師、騎乗した池添謙一ともに初勝利となった。
今日の一口馬。東京8R【4歳上1勝クラス】に出走したフラッフィクラウド。レースでは、スタートは若干遅めで、後方グループから。中団後ろで4コーナーをまわり、直線に入ると外へと持ち出す。懸命に前を追いかけたが、ジリジリとした伸び脚で1番人気の勝ち馬とは1.1秒差の7着で入線。前2走がチグハグな競馬だったので半信半疑だったが、まぁ全体的には悪くない走り。本音で言うと、もうちょっと弾けて欲しかったが・・・。中山の1800mのほうがいいのかも。今後については、トモの状態や出走状況なども見ながら、続戦か放牧かを判断するらしい。次に期待する。