あの吉永正人が逝った。
僕が競馬に嵌るきっかけになった騎手だ。僕が初めて馬券を買ったレースが'84年の【宝塚記念】である。このレースは1着カツラギエース、2着スズカコバンで決まり、枠連(馬連も馬単もなかった時代)で970円の配当だったのだが、僕はこの馬券を3千円持っていた。それが3万円近くなったのだから、当然、「競馬っておもしろいし、儲かる」と思ったのはいうまでもない。しかしいくら僕でもたったこれだけで、すぐに競馬にドップリと嵌ったわけではない。ただ競馬の面白さを知った僕は重賞に限って馬券を少しづつ買い始めた。そして、シンボリルドルフやビゼンニシキ、ミスターシービーなどの名前を覚えるようになったのである。
そして運命の日がやってくる。 '84年10月7日。場所は東京競馬場。レースは【毎日王冠】である。僕は友人と競馬場に行き(住んでいたのが調布と競馬場に近かったので)、このレースの【宝塚記念】でお世話になったカツラギエースと前年度3冠馬ミスターシービーとの馬券を1点1万円勝負した。貧乏学生だった僕にとって1万円は大金である(大学生は馬券が買ってはいけないが・・・)。『餃子の王将』ならどれだけ食べられるかわからないほどの金額である。ところがこんな単純な人間をギャンブル地獄に陥れるのは簡単で、神様がその馬券を的中させてくれたのだ。配当は700円。なんと7倍である。ただこのレースでその儲けより僕を魅了したものがあった。それが2着に敗れたミスターシービーの鬼脚であった。ポツンと最後方を追走し4コーナー手前の欅から徐々に進出。直線は吉永正人を背に飛んできた、それもとても届かないところから。
「すげぇ、こんな馬がいるのかぁ」
その興奮は当分治まらなかった。
そして再度カツラギエース、ミスターシービーが激突する【天皇賞(秋)】がやってきた。同年10月28日のことである。当然のように僕は友人と競馬場に出かけた。僕の馬券はまたカツラギエースとミスターシービーに1万円、それと【毎日王冠】で惚れてしまったミスターシービーと【宝塚記念】でお世話になったスズカコバン、ミスターシービーと地方の雄サンオーイを5千円づつ持っていた。レースはキョウエイレアの逃げで始まり、スーパースワローが2番手、カツラギエースは3番手、スズカコバンとサンオーイは中団に付けて始まった。ミスターシービーは当然ながら最後方である。レースは淡々と進み3コーナーからミスターシービーが徐々に進出する。このとき競馬場は地鳴りのような「ウォーッ」という音が響き渡る。僕自身も体に鳥肌がたつ。こんなどよめき生まれて初めての体験である。直線吉永正人と鞭に応え、ミスターシービーの馬体が踊る。見事1着ゴールイン、2着には人気薄テュデナムキングが入り馬券は外れたが、そんなことなどもうどうでもよかった。そのレースを観られただけでも満足であった。競馬場がずっとどよめいていた。今のように「○○コール」がない頃である。この時期2年連続3冠馬としてシンボリルドルフが出現していたが、ルドルフが好位抜け出しの正攻法の競馬で鞍上が天才岡部であるのに対し、シービーはどんじり強襲の競馬で鞍上は職人吉永という好対照な姿も僕に好意を抱かせた。
その後【JC】【有馬記念】【天皇賞(春)】とシービーは勝てなかったが、僕はずっと馬券と共に追いかけた。残念ながらその馬券は紙屑となったが、負けても悔いはなかった。シービー&吉永はそれほど魅力いっぱいだったのだ。
その吉永は'86年3月9日に鞭を置く。僕はその日3鞍に乗った吉永騎乗の馬をすべて買った記憶がある(後楽園の場外馬券場で)。結果【中山記念】のモンテジャパンの3着が最高だったと記憶しているが、その日も馬券を買ったことにまったく後悔はしなかった(多分そんなファンが多かったのだろう、吉永は最終レース1番人気だった・・・)。
今僕はその競馬の魅力にとりつかれて以来競馬を続けている。もしシービー&吉永と出会わなかったらこの22年間の競馬生活は決してなかっただろう。そんな彼が・・・。最大の感謝をこめて「ありがとう」の言葉をお悔やみの言葉を贈りたい。合掌!!!
明日の予想。今週は3日連続の変則競馬である。思わず“そんなに損をさせたいのか”と思ってしまうJRAの策略に積極的に挑んでみる。まずは中山11R【ニューマーケットC】。本命は穴狙いで14番マチカネリュウセイ。ジリ脚でいつももう一歩の競馬が続くが、鞍上木幡との相性がいちばんよく55㌔なら一発がある。8R【カンナS】は8番オールライトナウ。2走目で差しの競馬を覚えたのは魅力だ。同2Rは超大穴で3番ヨシトップランを遊びで買う。前走は出遅れて脚を使ったが、その脚は少しだけ見所が合った。もしいいスタートが切れたら、人気馬がそれ程信用できないこのレース、3着はある。札幌からは11R【アカシヤ特別】の1番シベリアンホビー。元々この距離は長いが、前々走の1800mでは好走。1600万条件でも4,5着のある馬で、ここでは力が上だ。吉永正の弟弟子(だったと思う)菊沢の一発を期待したい。7Rは木曜まで9頭しか出走する見込みなかったレース。それがふたを開ければ16頭立てとなった。つまり想定外のレースとなった馬が多いのである。そこで平坦の中京からいち早く目標を札幌のこのレースに狙いを絞っていた11番ポップチャートを狙う。前走はフケ気味で荒馬場、ハナを譲った展開が響いた。ここはすんなりハナを切れそうで鞍上も先週重賞勝ちの池添なら・・・。
今週は弔い合戦として吉永護をどこかで買おうと思っているが、明日の中山6R14番アグリシチーはさすがに荷が重たそう。最近乗り鞍が減ってきている彼だが、日曜は3Rと9Rに吉永正人厩舎の馬に騎乗する(その他にも1鞍騎乗)。どっちかは馬券になってほしいものだが・・・。
僕が競馬に嵌るきっかけになった騎手だ。僕が初めて馬券を買ったレースが'84年の【宝塚記念】である。このレースは1着カツラギエース、2着スズカコバンで決まり、枠連(馬連も馬単もなかった時代)で970円の配当だったのだが、僕はこの馬券を3千円持っていた。それが3万円近くなったのだから、当然、「競馬っておもしろいし、儲かる」と思ったのはいうまでもない。しかしいくら僕でもたったこれだけで、すぐに競馬にドップリと嵌ったわけではない。ただ競馬の面白さを知った僕は重賞に限って馬券を少しづつ買い始めた。そして、シンボリルドルフやビゼンニシキ、ミスターシービーなどの名前を覚えるようになったのである。
そして運命の日がやってくる。 '84年10月7日。場所は東京競馬場。レースは【毎日王冠】である。僕は友人と競馬場に行き(住んでいたのが調布と競馬場に近かったので)、このレースの【宝塚記念】でお世話になったカツラギエースと前年度3冠馬ミスターシービーとの馬券を1点1万円勝負した。貧乏学生だった僕にとって1万円は大金である(大学生は馬券が買ってはいけないが・・・)。『餃子の王将』ならどれだけ食べられるかわからないほどの金額である。ところがこんな単純な人間をギャンブル地獄に陥れるのは簡単で、神様がその馬券を的中させてくれたのだ。配当は700円。なんと7倍である。ただこのレースでその儲けより僕を魅了したものがあった。それが2着に敗れたミスターシービーの鬼脚であった。ポツンと最後方を追走し4コーナー手前の欅から徐々に進出。直線は吉永正人を背に飛んできた、それもとても届かないところから。
「すげぇ、こんな馬がいるのかぁ」
その興奮は当分治まらなかった。
そして再度カツラギエース、ミスターシービーが激突する【天皇賞(秋)】がやってきた。同年10月28日のことである。当然のように僕は友人と競馬場に出かけた。僕の馬券はまたカツラギエースとミスターシービーに1万円、それと【毎日王冠】で惚れてしまったミスターシービーと【宝塚記念】でお世話になったスズカコバン、ミスターシービーと地方の雄サンオーイを5千円づつ持っていた。レースはキョウエイレアの逃げで始まり、スーパースワローが2番手、カツラギエースは3番手、スズカコバンとサンオーイは中団に付けて始まった。ミスターシービーは当然ながら最後方である。レースは淡々と進み3コーナーからミスターシービーが徐々に進出する。このとき競馬場は地鳴りのような「ウォーッ」という音が響き渡る。僕自身も体に鳥肌がたつ。こんなどよめき生まれて初めての体験である。直線吉永正人と鞭に応え、ミスターシービーの馬体が踊る。見事1着ゴールイン、2着には人気薄テュデナムキングが入り馬券は外れたが、そんなことなどもうどうでもよかった。そのレースを観られただけでも満足であった。競馬場がずっとどよめいていた。今のように「○○コール」がない頃である。この時期2年連続3冠馬としてシンボリルドルフが出現していたが、ルドルフが好位抜け出しの正攻法の競馬で鞍上が天才岡部であるのに対し、シービーはどんじり強襲の競馬で鞍上は職人吉永という好対照な姿も僕に好意を抱かせた。
その後【JC】【有馬記念】【天皇賞(春)】とシービーは勝てなかったが、僕はずっと馬券と共に追いかけた。残念ながらその馬券は紙屑となったが、負けても悔いはなかった。シービー&吉永はそれほど魅力いっぱいだったのだ。
その吉永は'86年3月9日に鞭を置く。僕はその日3鞍に乗った吉永騎乗の馬をすべて買った記憶がある(後楽園の場外馬券場で)。結果【中山記念】のモンテジャパンの3着が最高だったと記憶しているが、その日も馬券を買ったことにまったく後悔はしなかった(多分そんなファンが多かったのだろう、吉永は最終レース1番人気だった・・・)。
今僕はその競馬の魅力にとりつかれて以来競馬を続けている。もしシービー&吉永と出会わなかったらこの22年間の競馬生活は決してなかっただろう。そんな彼が・・・。最大の感謝をこめて「ありがとう」の言葉をお悔やみの言葉を贈りたい。合掌!!!
明日の予想。今週は3日連続の変則競馬である。思わず“そんなに損をさせたいのか”と思ってしまうJRAの策略に積極的に挑んでみる。まずは中山11R【ニューマーケットC】。本命は穴狙いで14番マチカネリュウセイ。ジリ脚でいつももう一歩の競馬が続くが、鞍上木幡との相性がいちばんよく55㌔なら一発がある。8R【カンナS】は8番オールライトナウ。2走目で差しの競馬を覚えたのは魅力だ。同2Rは超大穴で3番ヨシトップランを遊びで買う。前走は出遅れて脚を使ったが、その脚は少しだけ見所が合った。もしいいスタートが切れたら、人気馬がそれ程信用できないこのレース、3着はある。札幌からは11R【アカシヤ特別】の1番シベリアンホビー。元々この距離は長いが、前々走の1800mでは好走。1600万条件でも4,5着のある馬で、ここでは力が上だ。吉永正の弟弟子(だったと思う)菊沢の一発を期待したい。7Rは木曜まで9頭しか出走する見込みなかったレース。それがふたを開ければ16頭立てとなった。つまり想定外のレースとなった馬が多いのである。そこで平坦の中京からいち早く目標を札幌のこのレースに狙いを絞っていた11番ポップチャートを狙う。前走はフケ気味で荒馬場、ハナを譲った展開が響いた。ここはすんなりハナを切れそうで鞍上も先週重賞勝ちの池添なら・・・。
今週は弔い合戦として吉永護をどこかで買おうと思っているが、明日の中山6R14番アグリシチーはさすがに荷が重たそう。最近乗り鞍が減ってきている彼だが、日曜は3Rと9Rに吉永正人厩舎の馬に騎乗する(その他にも1鞍騎乗)。どっちかは馬券になってほしいものだが・・・。