風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「みんな自分らしくいるための はじめてのLGBT」

2021-10-07 | 読書


著者はトランスジェンダーのFtoMとのこと。
当事者だからこそ感じる生の声が書かれていて
わかったつもりになっていた私は改めて蒙を啓かされた。

以前から「マイノリティって何だ?」という疑問を持っていた。
「マイノリティってことはマジョリティがいるの?どこに?」と。
何がマジョリティなのか。
自分の性自認が体と合っていればマジョリティなの?
恋愛対象が異性ならマジョリティなの?
ボーボワールの「第二の性」じゃないけれど
性自認ってのはどの時点で認識するものなのだろう。
根本的に、マジョリティとマイノリティって線引きできるの?

浅学の私にはわからないことだらけなのだが
少なくとも言えることは
「はっきり2つには分けられないんじゃないか」ということ。
私は性自認が男性で、恋愛対象は女性だけれど
同じような人たちでも感じる性的魅力はそれぞれ違う。
じゃあマジョリティって何?
もちろん一般的に「マイノリティ」と言われる人々は
L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシュアル)T(トランスジェンダー)
だけではない。
もっと多様だし、それは単に性的なことだけじゃないと思う。
もっと言うと、マジョリティと言われる人たちだっていろいろだ。
確かに自分が多数に与していると安心感はあるのだろうが
残念ながらまったく同じ人はこの世にはいない。
だから「マイノリティ」という言葉以前に
「マジョリティ」という言葉に以前からとても違和感を感じるのだ。

ところで本書。
内容はLGBTのことだけにとどまらず
社会のルールのこと、障害のこと、親子関係のことなど
人が痛みを感じたり、苦しかったり、生き難かったりすることを
多岐にわたり、例を挙げてわかりやすく書いている。
(もしかしたら中高生〜20代向けの本かもしれない)

「本来、自分とは違う誰かの話であるはずなのに、
 『あれ?これは自分のことだぞ』と感じてしまう瞬間、
 私たちは孤独ではなくなります」(「あとがき」より)

もしかしたら本書は若い人たち以上に
私のような中高年が読むべきものなのかもしれない。

「みんな自分らしくいるための はじめてのLGBT」
遠藤まめた:著 ちくまプリマー新書
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