風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「昏い秋」

2024-10-12 | 生活の風景

黒塚森の一群が
風の向ふにけむりを吐けば
そんなつめたい白い火むらは
北いっぱいに飛んでゐる
……野はらのひわれも火を噴きさう……
雲の鎖やむら立ちや
白いうつぼの稲田にたって
ひとは幽霊写真のやうに
ぼんやりとして風を見送る

     (宮沢賢治・1924.10.4)
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