風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「笑うマトリョーシカ」

2024-07-30 | 読書

始まったばかりのテレビドラマを1〜2回見て
なかなか面白そうだと思って原作の小説を買ってきた。
読み始めたら、もう止まらない。
読みながら抱く推理がことごとく裏切られる。
めくるめく展開と心理戦。
こりゃーいくら頑張ってもドラマ化は完全には無理だ。
案の定、ドラマはこの小説の半分ぐらいから始まるけれど
前半部分がなければ(ある意味助走だ)深さに欠ける。
全体の展開に比べて、前半が占めるウエイトが高く
少々冗長に見えるけれど(そしてその部分も案外面白い)
だからこそ読者は間違った推理をのちに裏切られる。
サイコパスやマニピュレーターたちの物語。
それらが蠢く舞台が政治の世界というのが妙にリアルだ。
それを思うと、背中に嫌な冷たい汗をかく。

ネタバレになることを書くつもりはないが
この小説の結末はこのタイトルにもあるマトリョーシカだ。
清家一郎の事務所にあるものが大きな意味を持つ。
あぁ、またすぐに読み直したい。

「笑うマトリョーシカ」早見和真:著 文春文庫


 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«  | トップ | 願い »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書」カテゴリの最新記事