風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「昭和ちびっこ未来画報〜ぼくらの21世紀」

2023-12-16 | 読書

こんな本を見つけて即買い😁
1950年〜1970年ごろの子ども向け雑誌などに掲載された
(その時想像した)未来予想図が載っている。
「復興には50年かかる」と言われた戦災からは
1950年代にはもう驚異的なスピードで復興し
1960年ごろからの高度経済成長によって
「昨日より今日、今日より明日が豊かになる」と皆が思い
「未来」の夢を見る時代だった。
本書にはその「未来」がたくさん詰まっている。

1950年代から60年代前半ぐらいまで
「未来」は復興後の世界だった。
みんながロケットを背負って自由に空を飛ぶ姿は笑えるが
一方でヘリコプターや立体交差が未来の姿というところには
当時いかに戦前からの暮らしが続いていたが窺われる。
この当時はテレビや自家用車、冷蔵庫すら高嶺の花だった。

驚いたのは1960年後半から1970年前半にかけて。
このページを担当した編集者やイラストレーターは
実用化されていない、当時最先端のテクノロジーを調べ
それらが実用化された姿を描いている。
モノレール、動く歩道、放送衛星(BS、CS)、
ファクシミリ、携帯電話、壁掛けテレビ、ロボット手術、
そして太陽電池にインターネット。
その頃からITや液晶技術が研究されていたんだねぇ。

1970年の大阪万博でも未来の技術が紹介されている。
私も子どもの頃驚いた(といっても行ってないから本で見た)
自動で風呂に入れる「人間洗濯機」は
現在介護用入浴システムに生かされているのだという。
狭い自宅の中でプライバシーを作り出すカプセルルームは
今カプセルホテルになってるよねぇ。

驚くのは「コンピューターライフ(1969年)」というページ。
絵とともに書いてある文を抜粋してみよう。
「いまから20年後、きみたちが、社会人として、働いている時代、
 コンピューターは、生活から切り離せなくなっているだろう。
 きみの健康も、きょうのドライブコースも、
 そして今晩の献立さえも、すべてコンピューターが教えてくれる。
 子どもたちも、学校へいかずに、家庭のコンピューターで
 勉強すればいいだろう。
 家庭のすべてが、コンピューター中心の
 未来世界(コンピュートピア)が、実現するのだ」
そしてそのページの端には
「テレビ電話も実現!きみの家で使えるのも近い」と

笑ったのはその続きにある「コンピューター学校」。
もちろんオンライン学習について描かれているのだが、
みんなわざわざ学校へ行って、ひとり1台のPCを使っている。
ところが右端の子はどうやらロボットによって立たされ😁
一番後ろの子はよそ見をしていたらしく
見張りのロボットに頭をコツンと叩かれている🤣
科学の未来は予測できても
人権の考え方の進化までは予測できなかったと見える。

本書では未来のエネルギーを原子力としているが
最後には未来の人類が滅びる姿。
その原因が・・・
「気候の変化」「気温の変化」「伝染病の流行」
そして「第3次世界大戦」(1968年のページ)
科学の進展だけではなく、
滅びゆく人類の姿までその通り描かれつつあると思うのは
ネガティブな考え方すぎるだろうか。
子どもたちは、いつから未来に夢を描かなくなったろう。
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