毎日楽しみにしていた地元紙の連載小説が終わり
「村山ロス」からと言うわけではないが、また村山由佳さん。
今回は短編集だ。
「まつらひ」は「祭り」の古語で「祀り」に通じる。
観光化した「フェスティバル」ではなく
その土地に根差した土着文化である「祭り」は
地元の人々の想いや信仰、魂の咆哮までを包括する。
そこには人間が持つ、根源的「生」のエネルギーが込められ
ある意味エクスタシーを招く。
そういう物語は故坂東眞砂子さんが得意分野で
この村山さんの作品はそこまでおどろおどろしい感じはないが
それでも「ケ」と「ハレ」の対比の中で
人が普段内に秘めているものがチラリと顔を出す。
この世界は嫌いじゃない。
最初の「夜明け前」には驚いたが
これもまた古くからの「家」に囚われた因習という意味では
物語の題材として取り上げられるべきものなのだろう。
良いか悪いかは別として、問題提起。
「まつらひ」村山由佳:著 文春文庫