吉澤兄一のブログ

お江戸のど真ん中、平河町から、市井のトピックスを日記風につづりたいと思います。

大(メジャー)の腕力に抗する小(日本)の知力が問われる。

2008年09月06日 | Weblog
 食料の自給率(カロリーベース)39%に対する日本の政策戦略が不確かであることが、先々の日本の将来を不安にしている。飼料や農薬などを考慮する量的(トン)な自給率は30%を切っているとも言われている。戦後日本の農業政策や食料調達戦略の失政の積み上げの結果でもある。自分が所属している(豆乳)大豆についても例外ではない。95%が海外からの輸入調達なのだ。

 2008年9月4日、自分も含む日本の大豆食品加工企業の団体10団体とアメリカの大豆耕作農家の2つの団体(アメリカ大豆協会と全米大豆基金財団)と日本の農水省スタッフとの情報交換会(含、議論と懇親)が、箱根湯本の富士屋ホテルで行われた。

 日本側からは、専ら年々耕作生産量が減っている非GM(遺伝子組み換えでない)大豆の作付け生産量の見通しや調達についての条件環境などについての質問というより要請が多く出た。日本の大豆原料の約40%を占めるアメリカ大豆の90%ぐらいは遺伝子組み換え(GM)大豆で、その割合は年々増加している。昨年は大豆耕作のバイオ燃料トウモロコシ耕作への転換などの影響もあり、非GM大豆の生産量シェアは、3~5%に満たない。

 現実的には、年々高まるプレミアム(シカゴ穀物相場への上乗せ割り増し価額)を乗せた価格で、契約栽培をしてもらってアメリカの非GM大豆を買っているのだ。このプレミアムが、単にGM大豆相場価格への一定率の割り増しでは済まなくなりそうな気配なのだ。大豆をはじめ小麦やトウモロコシなどの農業市場を席捲しているバイオ・メジャーのGM大豆種子戦略が、日本が固執する非GM大豆のプレミアムを超える新品種GM大豆(ヴィスティブ)耕作を推進するためのプレミアムを打ち出しているのだ。心臓病や生活習慣病に影響するトランス脂肪酸を減少させる低リノレン酸大豆を開発、その種子の普及拡販に注力しているのだ。

 このような大豆など主要農産物の種子のシェアの40~50%を占めるバイオ種子メジャーに、日本の交配育種の種子メーカーやささやかな大豆輸入を非GMのそれに固執して要求する日本の加工食品メーカーや消費者はいかに対処していくのかという戦いになっている。石油メジャー、金融メジャーや流通やITメジャーなどにどのように対応していくのかなどと考えているうち、すでに昔の農薬・化学メジャーは、バイオ種子メジャーに脱皮していたのだ。

 大きいこと”大”の規模競争力や戦略優位性を信じて疑わないアメリカ経済や企業に対し、小さな日本は何を対抗軸にしていくのか。どのような農業食料の調達展望をし、どのように国をリードするのかが問われている21世紀だ。バイオや遺伝子組み換えという革新技術が、人々の心臓病や高血圧症などの生活習慣病の抑止や予防といった健康貢献技術の製品化に進んでいる。これらの勢力に現実に対抗するオーガニックや交配育種や非GMO商品生産技術のより数段の革新が期待されているが、このような競争軸とは違った考え方を含めて考えることが大切だろう。
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