令和四(2022)年は、何かと落ち着かない年だった。新型コロナウイルス感染(第6波第7波)やロシアのウクライナ侵攻に加え、円安や政界スキャンダルなどで過ぎた。信頼や安心のない不安の多い世の中だった。お天気は異常で、自然は災害で 怒った。
① 虫たちの晩秋:
・風雨の翌朝蝉の声の無く ・アベリアの花をつんつん蜆蝶
・風に舞うアサギマダラや藤袴 ・庭の灯の 点る夕暮れ 虫の声
・藪の中 ガチャガチャ 騒ぐ 轡虫 ・夕暮や 途切れ途切れの 虫時雨
・日溜りをゆらゆら探す冬の蚊よ ・コロナ禍を生き残ったぜ冬の蝿
・山茶花の残る一花に冬の蝶 ・初雪かふんわり踊る雪虫よ
小さなシジミ蝶や食草地を渡り飛来するアサギマダラは、街路のアベリアや里山の藤袴の花蜜に そっと休むが、里藪に鳴くクツワムシはやたら騒がしい。秋はやっぱり庭先の花壇で鳴くコォロギやカンタンとの夕暮れが、気を鎮める。
② 季節の移ろい:
・朝夕の肌に涼しさ白露かな ・明日刈る稲穂を倒し嵐往く
・庭先の灯が点る秋の暮 ・天高く青い空なり 一夏日
・きょうも雨 一雨ごとの 寒さかな ・小糠雨 一羽たたずむ 老雀
・霜月や脱いで又着るTシャツよ ・行く秋を惜しむ赤い実ナナカマド
・原発も電気も無しの雪の街 ・冬至の日家居の風呂の柚子を買ふ
令和四(2022)年のお天気は 多分に異常だった。ハッキリしない梅雨入りと梅雨明け。いつが梅雨 明けかも知らないうちに夏。その夏が 猛暑。太平洋高気圧とチベット高気圧のダブル高気圧のせいだ、いやラニーニャ現象のせいだと、異常天候・猛暑の主原因でアレコレ騒ぐ。この”暑さ”10月まで続くと言ったり、11月や12月は厳寒だ大雪だという。
③人々の暮らし:
・落蝉を拾いし孫の声高し ・菊の香に乗せて禅語の本届く
・スリーセブンと略す孫に 喝と喜寿 ・ワクチンの落ちる日々や秋の暮
・神の月 きょう一日の 晴夏日 ・新さんまその日のうちに焼かれたり
・アニメ顔大きなマスク孫威張る ・晩秋のワールドカップ一喜一憂
・五回目のワクチン接種冬紅葉 ・初雪やペンギン歩きのサラリーマン
気温やお天気が いつも(毎年)と違うと、暮し方も難しい。加えて、第6波7波・第8波とコロナ感染情況が変わる。国は 密(三密)になるな、会合や会食はするな、街に出るなと言ったり、”旅行しろ、外でのマスクは外せ、いや対面時はマスクしろ”など ただ忙しくいう。高齢者は、3回4回目の後も5回目の接種を急げと言ったり、子どもも急ぎワクチンしろという。暮らし難いこの夏秋だ。
④季節の花々:
・強風に黄色コスモス 腰砕け ・頂上や 白花一面 チングルマ
・草刈りの鋏を避けし桔梗かな ・行く秋やコスモス畑 青い空
・青い空真っ赤なコキア人の波 ・ 秋そばの 真っ白な花 青い空
・野にありて吾も花よと吾亦紅 ・八手花いい月いい日平和の日
・寒椿 三密避けた一目白 ・人の居ぬ庭のからたち白一花
季節を彩る花々や自然だけは変わらないということで、森林浴か野山の花々観賞に出かけようと思うが、”旅行はするな ”などとも言われる。クルマを取り上げられた自分は、運転経歴証明書所有者で 電車やバスがわりのドライブも出来ない。歩いて近くの公園辺りの花々を愛でよう。
⑤自然の景色:
・青い空さくら落葉とアカタテハ ・イノシシの外出禁じ黍嵐
・葉桜の落葉になりて 秋桜 ・秋蕎麦の白花見上ぐる紅コキア
・露時雨夕暮れの空鳥帰る ・七曲り 左右の窓にナナカマド
・ふる里の赤黄みどりの山眠る ・限界村人居ぬ庭の木守柿
・枯木立 風に抗うレジ袋 ・暴雪や鰤も寄らずの日本海
ここ東京圏にも 自然を享受できる公園などは多い。この近くにも、光が丘公園や赤塚植物園などがある。バスを利用すれば 井の頭公園や石神井公園もある。地下鉄や電車を使えば、新宿御苑や明治神宮御苑および(皇居)東御苑などもある。わざわざ国営ひたち海浜公園や足利フラワーパークや赤城自然園などや千葉や伊豆箱根方面に行かずとも、自然や花々を観賞できるところは多い。