昔、胃破裂していた馬が助かった症例報告を読んだ記憶があった。
それを励みに消化管破裂だと思いながらも開腹手術したこともあった。
どの文献だったか探したが見つけられなかったのだが、先日発見した。
美貌備忘録として抄録を載せておく。
著者は、あのHogan先生。
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Repair of a full-thickness gastric rupture in a horse
1頭の馬の全層胃破裂の修復
P M Hogan, L R Bramlage, S W Pierce
J Am Vet Med Assoc, 1995 207(3) 338-340
14歳のサラブレッド繁殖雌馬が軽度から中等度の疝痛を示して診察を受けた。
探査的開腹手術では、胃に20×8cmの血腫があり、頂部に沿って筋層が裂け、その上の漿膜の一部が穿孔していた。
消化管ガスの臭いがしたが、腹腔のひどい汚染はなかった。
同時に、小腸の一部の捻転があった。
大結腸を腹腔から出すときに漿膜の穿孔が広がり、全層の胃裂孔となったように見えた。
その裂孔は2層の内反縫合で閉じた。
患馬は消化管出血が手術後10日で起きたが、治療に反応した。
2年後の追跡調査において、その繁殖雌馬は一度出産し、腹腔疾患の再発はなかった。
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この繁殖雌馬はこの小腸捻転と胃破裂以前に、大結腸の切除歴があった。
小腸捻転を起こし、胃拡張になり、それで胃破裂したのだろう。
胃破裂は、たいてい漿膜と筋層が裂け、粘膜は一部が破れながらかなりの部分は耐えていることがあるが、
この馬の胃破裂は珍しいことに漿膜が、筋層が裂けたことによる血腫のほとんどを覆っていた。
それで手術前のひどい腹腔の汚染はかろうじて防がれた。
しかし、大結腸を腹腔から出すときに胃の漿膜も裂けてしまった。
胃は腹腔から出せないので、腹腔内の汚染が広がらないようにしながら、胃内容をすくい出し、胃の裂孔を閉じた。
腹腔内は生理食塩液で洗浄した。
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腹膜炎症状で開腹したのではないことには注意が必要。
胃破裂で腹膜炎症状があって開腹したのでは厳しいだろう。
それでも胃破裂していても助かった馬がいたことは記憶しておきたい。
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林の中にオオバナノエンレイソウ。
誰も見にはこない。
ユキヤナギ。
花のにおい嗅いでるわけじゃない;笑
オオバノエンレイソウ・・観に行きたい。でもそこは遠すぎます。
諦めたものでもないですね。
胃破裂以前に大結腸の切除歴があったり、消化管出血が手術後10日で起きたりしても。
これはどんな治療だったのでしょ。
先日、鉄柵カミカミしてはげっぷする馬を見ました
あら、不審なオラ君も2種類のお花もお気に入り。スズランの季節でもありますね。こちらではもう咲いています。
数こなしていればそういう症例も遭遇するという側面もありましょうが、四半世紀以上前に達成するスキルも敬服に値するのでしょう。
時の流れで失われる故の備忘ですけれど美貌はそれとは少し違いますかね。
うちの庭のユキヤナギはさっぱり大きくなりません。枝が伸びて枝垂れてもらいたいのですが。
きわどく珍しい状態だったのだと思います。しかし、あきらめなかったからこそでしょう。