さて、馬の高カリウム血症の治療について、AAEPでの講演を紹介してきた翻訳文も最後。
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Results
高カリウム血症の治療はしばしば一時的で、元の内科的状態が解消するまでの橋渡しである。
HYPP hyperkalemic periodic paralysis の症例は急速に改善され、長期間の管理はその後の問題を予防しうる可能性がある。
膀胱破裂は外科的に修復することができ予後は良好である。
しかし、それ以上に長期的予後が良くない状態(急性腎不全)は、初期には改善を見せても、後に悪化するだけかもしれない。
一般的法則として、高カリウム血症は、尿が作られていない患畜より、機能的な腎障害がある馬での管理の方が容易である。
Discussion
馬臨床家は述べてきた治療方法を高カリウム血症の初期治療として用いることができる。
輸液と下記のリストは容易に行うことができ、救命となりうる。
馬の高カリウム血症の臨床的治療
1. バランスのとれた等張の電解質液の5リットルバッグ
2. 加えて、50%ブドウ糖500ml
3. 加えて、レギュラーインスリン0.5ml(100units/ml)
4. 加えて、23%カルシウムグルコネート500ml
この輸液合剤は、1時間あまりで10ml/kgの量を投与できる。
もし静脈内輸液治療が遅れるなら、アルブテロールの吸入投与を行うことができる。
長期のケアとして、ブドウ糖とインスリンが入った静脈内輸液はフロセミド投与と同様、使うべきものかもしれない。
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この文章は、高カリウムが危険だから、救命目的で対処することが主眼となっている。
細胞内からカリウムが抜けた状態であるなら(腎不全や膀胱破裂での高カリは別にして)、カリウムを細胞外液から細胞内へ戻してやることは、一般状態の改善にも役立つのではないだろうか。
ブドウ糖の積極的利用はやってみようと思う。
それによりインスリンの分泌を促すこともできる。
どこかのタイミングで、血糖値のモニターもしておくと良いだろう。
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盛夏が近づいてきた。
繁殖シーズンも終わり。
牧草作業も始まるようだ。
今週は東京で1時間講演、来月は3時間の講習と3時間の講義を頼まれている。そして・・・・9月までに教科書の文章を書かなければいけないんだった。
8月には学会と症例検討会もある。
負けずに夏を楽しもう!!
フロセミド使用時は脱水にも気を付けたいところ。
草食動物のカリウムを消化管からの吸収の段階で抑制するのは、ヒトと違って難しいだろうとも思いました。
雨がちな夏至を過ぎ、それでもまだ日が長いことがうれしいです。
夏も元気に。同感です。
ヒトは、ナトリウム摂取を減らせ、カリウムを採れ、といわれますが、草食動物はまた全然ちがうのでしょうね。
これから日が短くなるのは残念です。やっと診療に余裕ができる季節なのに!
馬ならクッシングの話が出てくるのかと思いましたよ。
ステロイド使え、と言う話ではなくグリチルリチンは作用機序考えると高カリウム血症をかなり改善する様です。
中森獣医さん侮れない。。
有能な獣医師諸々職員に囲まれて実現するhig先生の充実こそ職場の誇りであって欲しいものです。