今回の香港Upper Airway Symposiumでも感じたのは、診断や治療の基礎にある解剖学や生理学や上部気道の機能を理解することのたいせつさだ。
馬に何かの障害があり、外科手術方法があると、ついつい手術手技に意識が行きがちだ。
それで良くなるなら問題ないのかもしれない。
しかし、うまくいかないことがあるので考えなければいけないときに、見よう見まねで手術していたのでは進歩できない。
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多くの神経が多くの筋肉を動かし、それが特有の形状をした軟骨や舌骨や軟口蓋を動かして呼吸や嚥下を司っている。
DDSPの馬では、舌縛りや、8字の鼻革や、特殊なハミが効果をあげることがある。
それがどうしてなのかわかっていれば、うまくやれるかもしれない。
舌の奥には舌骨があり、した骨は甲状軟骨にくっついている。
舌をひっぱることで甲状軟骨が前へ引かれれば、甲状軟骨にくっついている喉頭蓋がしっかり軟口蓋に乗っかり、落ち込みにくくなるわけだ。
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「調教しているサラブレッドでは喉の異常の5-27%がDDSPによるものだった。」という文献や、
「27-50%」だったとする文献、
「スポーツ用馬では4-54%であった。」とする文献が紹介されている。
他の研究者の成績もきちんと把握しているところはさすが大学の先生で、その分野の専門家だ。
そして、DDSPはおそらく競走馬のもっとも多い喉の障害なのだ。
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シンポジウム初日の夜はHappy Valley競馬場で食事をしながら競馬見学。
テーブルを囲んでsmorgasbord(バイキング式)で食事を楽しみ、テラスへ出て競馬も見れる。
香港は人口700万で、2つの競馬場があり、馬券売り上げは1兆円だそうだ。
どんどん伸びているそうで、その勢いと余裕が今回のシンポジウムの開催につながっているのだろう。
その訳し方が意訳になっていて面白い。
「さあ、馬券を買ってください。それが私のサラリーになります。」
と、Dr.Riggs。
伸びていく中国の活気を香港競馬でも感じた。
おそらく、どさんこなど他のおんまさんの頻度とはデータ不足で比較ができないだろうことも想像できます。
しかし、もし、先天的な異常や系統がわかれば、そこから治療へと進み、選択肢が増える可能性もあるだろうとはとぽっけは考えます。
ですが、サラブレッドの場合、競走馬としては遺伝子治療はおそらく認められないとも考えます。
おんまさんの副鼻腔炎はあの馬面の容積に充満する膿を想像すると、はとぽっけまで苦しくなりそうです。
喉鳴りや、あるいは疝痛でさえも、人が改良してきたある種の馬特有のものかもしれませんね。どさんこ牧場ではこの10年に2回ほどしか疝痛がなかったそうです。どさんこに喉鳴りがあるかどうか調べてみたいものです。
牛でも黒毛和種はおどろくほどピロプラズマ感染に強いです。下痢や肺炎には弱いですが。
ただ、「じゃあ、どさんこで競馬しましょう」とはならないんですよね。