20年近く前は、腸管手術は年に数頭だった。子馬の小腸捻転がほとんどだった。
幼若な馬ほど腸管手術後の癒着が問題であることが知られている。実際今でも癒着は大きな問題だ。
あの頃、持って来られるまでの経過が長く、全身状態も悪い馬が多く、知識も経験も今より劣った時代に、今でも難しい症例を選択していたことになる。
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術後の癒着を減らすためには、腸管を愛護的に操作すること、腹腔の汚染を避けること、狭窄のない吻合方法を行いできるだけ術後早くから飲食させること、などが考えられる。
しかし、以前は持ってこられるのが遅く、来院したときには腹はパンパンで、開腹しても小腸をしごいて内容を抜いてやる必要があった。
子馬の小腸は触っただけで漿膜が傷つき癒着しやすくなる。まして膨満しているとなおのことだ(右)。
おまけにご丁寧に下剤をかけてから連れて来させる獣医師が多かった。
下剤が効くと思って投与するわけではない。他にすることがない。下剤が通らないことで閉塞を確認する。で、全身状態も悪くなって、連れて来られる。
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子馬は直腸検査ができないが、今は超音波画像(左)やX線撮影で腸閉塞を診断する知識や技術も進歩した。
腹腔穿刺して腹水の性状を調べる必要も減ったくらいだ。
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子馬は開腹手術してしまうと商品としての価値は半減してしまう。術後の癒着は今も大きな問題だ。
繁殖雌馬なら分娩までもたすとか、あるいは離乳までもたすとかでも手術する価値があるかもしれない。しかし、子馬だと数年以上生きて売買されるか、競走しないと成果にならない。
腸管手術をどんどんやって喜んでもらえるようになったのは、繁殖雌馬の手術をするようになってからだった。
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勤め始めた頃、「世間ではゴールデンウィークですよ」と先輩獣医師に言ったら、「それはかたぎの世界の話だ」と言われた。というわけで、この業界のわれわれは今日も午前も午後も手術。夜中だけはないことを祈ろう。
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やっと暖かくなり、草が緑になり、花が咲き、良い季節になったようだ。
花や樹の名前も知らず、山菜採りもきのこ採りもせずに過ごして来た。
これからは少しは周りを見るよゆうを持ちたいものだ。
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とりあえず、右の芽が食べごろになる頃、子供達と摘みに行く時間があることを祈ろう。
三年育てた、クリスマスローズが咲き誇っているからです。今心配なのは、診療途中で見つけた、蝦夷山椒魚の卵が孵化してくれるかどうか。シーズン後一月?
絶滅危惧種ですから孵化成功させてください。
繁殖シーズンお疲れ様です。難産シーズンは終わりましたが、疝痛シーズンはあと数ヶ月続きそうです。