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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

日曜日だった

2024-03-07 | 急性腹症

予定の診療も、急患も、忙しい。

先週実習に来ていた学生は、結局すべての夜に呼び出されたそうだ。

良い実習になったことだろう;笑

その前に韓国から研修に来ていた獣医さんは、

「テロに遭っているようだ」と言っていたそうだ。

そう、ここは安全な場所ではない。

          ー

朝、尺骨骨折が治った1歳馬のプレート抜去。

私は途中で抜けて、突然死した1歳馬の剖検。

出血性腸炎だった。

検査に出して Clostridioides difficile を調べてもらうことにする。

(C.difficile は抗原・毒素ともに陰性と連絡をいただいた)

跛行診断の馬も来たが、私は急患の疝痛の繁殖牝馬に対応。

          ー

さらに2歳馬の疝痛の開腹手術。

結腸基部が損傷していて腹膜炎を起こし始めていた。

珍しいことだが・・・・・

併行して1歳馬の副鼻腔蓄膿。

          ー

これだけ来たが手分けしながら対応できた。

そして、また夜が来る・・・・

        ////////////

相棒が逝って2年。

3月4日は命日でした。

 

 


細菌性関節炎、前庭障害、結腸捻転、腸管脱出、臍帯炎

2024-02-27 | 急性腹症

予定の診療に余裕があった日曜日。

堆肥場の周りの倒木の片付けをしようと思っていたのだが・・・・

出勤したら手術に難産が続いたようで、あちこちにその痕跡(汚れ)が残り、洗濯物がいっぱい。

アイロンがけして、手術用覆布を滅菌できるようにケッテルに詰める。

          ー

朝一は繁殖牝馬のフレグモーネと細菌性関節炎。肢が痛くなって、流産もしてしまい・・・・

関節液を抜いて抗菌薬投与して楽になっている。

フレグモーネ様の関節周囲炎もあるのでRegional Limb Perfusion しましょう。

          ー

そのあと、頭を傾げる1歳馬の診察。

わずかに頭を右に傾ける。

両目塞いでもひどくならない。左眼だけ塞いでもひどくならない。

右眼だけ塞いだら、ひどくなった。

左側の前庭障害なのだろう。

ステロイドを投与して様子を観てもらうことにした。

         ー

分娩後48時間の繁殖牝馬の疝痛の依頼。

来院したら立って居られないほど痛い。

PCV50.9%。

結腸捻転でしょう。すぐ開けましょう。

         ー

終わって2時。

それから、6日前に膀胱破裂の手術をした子馬の術創が開いて腸管脱出したとの連絡。

腓腹筋断裂があり、介助して寝起きさせていた子馬。

術創に無理がかかったのだろう。

縫合糸は解けたり切れたりしていなかったが、腹壁が切れて傷が開いていた。

そして、臍も化膿していたらしい。

切除してあったが、周囲に膿があった。

小腸にも汚れと損傷があり、厳しい状態だが、小腸を洗って腹腔へ戻し、腹腔洗浄した。

         ー

さらに3週齢の子馬の疝痛が来院。

この子馬も臍帯炎がある。

導尿したら尿も濁り、フィブリンを含んでいる。

WBC 26,000 /μl

開腹したがひどい癒着であきらめたそうだ。

          ー

もう急患が来ない日、急患がこない夜はないようだ。

       /////////////

このところ餌台にあらわれるシメ

どの図鑑をみても「ずんぐり」とした、と表現されている

動いているときはそうでもない

ずんぐり、はやめてほしいよね;笑


助けられない分娩事故と小腸閉塞

2024-02-11 | 急性腹症

出勤したら前夜から子宮穿孔疑いの繁殖牝馬が入院していた。

分娩5日後、発熱、元気食欲不振、腹水増量。

腸管手術歴がある。

「それは開けなきゃだめでしょ」

予定を変更して、朝一で開腹したが、子宮は穿孔していない。

消化管か・・・・?

この馬は、回盲部重積で回腸盲腸バイパス手術を受け、

その2年後、網嚢孔ヘルニアで開腹手術を受けたsurvivor 。

その回腸盲腸あたりに穿孔が見つかった。

消化管穿孔で汚染がひどいと助けることはできない。

あきらめて剖検したら、回腸盲腸バイパスした反吻側の回腸が穿孔していた。

分娩事故なのだろう。

            ー

妊娠末期の疝痛も依頼が来ていた。

PCV49、乳酸値も4越え。

超音波で完全膨満した小腸が多数見えた。壁の肥厚もある。

開腹したがまともな小腸はない。

腸間膜の孔をくぐっているらしい。

膨満した空腸を切開し、内容を排泄させて減圧し、整復したが小腸全域の壊死で厳しい。

あきらめる。

剖検で、空腸上位腸間膜に大きな孔があった。

入り込んだ小腸が全部壊死してしまっては助けることは叶わない。

 

 

 


仕事初めは開腹手術 妊娠末期の小腸閉塞をcolopexyを外して解除

2024-01-07 | 急性腹症

私は5日が仕事初め。

2日前から胃液逆流が続いている10歳の繁殖牝馬が入院していると言う。

それは開けなきゃダメだよね。

            ー

開腹したら腹部正中がなんだかヘン。

皮膚には縫合痕はわからなかったのだが、開腹手術歴があるようだ。

腹側結腸が正中に癒着している・・・・結腸固定術 colopexy か?

ガスと液の小腸内容を盲腸へ送ろうとするが、回腸が何かをくぐっていて内容を送りにくい。

正中に固定された結腸を、腹壁の一部ごと切除するようにして外した。

それで結腸、盲腸、小腸の位置関係を確認することができた。

腹腔の右側は妊娠子宮で占められており、消化管全体は左側へ押しやられている。

小腸は大きなループで腸間膜を軸にして捻れたようになっていた。

絞扼はされていないし、緊張もない。

妊娠末期でなければ、また、colopexyされていなければ起きなかった閉塞のように思う。

妊娠子宮は、妊娠末期には腹腔の尾側腹側を占める。

開腹手術創に結腸を固定すると、大結腸は妊娠子宮に干渉され、圧迫を受ける。

           ー

この馬の大結腸骨盤曲には切開した痕があった。

間違いない。以前に結腸捻転の手術を受けたのだ。

しかし今回も colopexyしておかないと、生き延びても今度は結腸捻転が再発する確率大。

大結腸胸骨曲を、胸骨近くに固定する私の方法でcolopexyし直すことにした。

                                       ー

その夜、この繁殖牝馬は流産してしまった。

麻酔覚醒起立後に、陰部にピンクの粘液栓が着いていたので,危ないかな、と思っていた。

胎仔は角膜が白くなっていたそうだ。

疝痛の早い時期に死んでいたのだろう。

          ーーー

この日は、他には種子骨軸外部骨折と繋靱帯炎の明け2歳馬の骨片摘出手術。

競走馬の、もう2ヶ月近くなるフレグモーネの診察。

翌日は、競走馬の第三手根骨の矢状方向盤状骨折のscrew固定。

眼球摘出馬の義眼再挿入。

1月に雨が降った。

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先日は、見慣れないお客さまだった。

シメのメス?

北海道で繁殖しても、冬には南へ渡ることになっているのだけど・・・

 

 


妊娠馬の結腸変位

2023-12-24 | 急性腹症

午前中は予定診療なしの土曜日、と思っていたら疝痛馬が来院。

6歳、4月末分娩予定、蹄を観ると・・・・慢性蹄葉炎だ。

前日午後からの疝痛で、痛いときは転がる。

直腸検査では、妊娠子宮とガスの張った大腸、内容のある大腸、腸紐は膨満によって緊張している。

が、どこも肥厚感はなし。

超音波で、右肝臓尾側に浮腫を起こした結腸動脈周囲が見えた。

結腸壁の肥厚は見えない。

「結腸変位でしょう。開けましょう」

           ー

妊娠子宮が大きく、大腸にアプローチしにくいが、まず盲腸を引き出しガス抜き。

結腸を引き出し奥を触ると、右背側結腸はかなり便秘気味。

蹄葉炎があるので、運動不足なのだろうし、

便秘気味になって、結腸が変位したのだろう。

結腸動脈周囲の一部と結腸壁の一部には膠様浸潤があった。

これが超音波で見えたわけだ。

           ー

骨盤曲を切開し、水を送り込み、内容を軟化させて大結腸を空にした。

再発しないようにcolopexy した。

合間に、両前肢の蹄をX線撮影してもらう。

もう蹄骨の先が磨耗し、反るように変形している。

蹄底はとても薄く圧迫されている。

気性の激しい馬で、この蹄でも放牧地へ走って行くし、

靴を履かせても食いちぎってしまうそうだ。

やるとしたら、深屈腱切断と蹄のデ・ローテーション管理だが、

こんな開腹手術に併せて、特に状態が悪くなったわけではないのに妊娠末期にやる処置ではない。

           ー

土曜日で血液検査業務もやらなければ・・・と思っていたら・・・・

        ///////////

なじみのスキー場がやっとオープンしたので

スノボしてきた。

雪フカフカのせいか、シーズン初スノボのせいか、1時間でヘトヘト。

午後には全身攣りそうになった;笑

好い運動だ。