COLKIDが日々の出来事を気軽に書き込む小さな日記です。
COLKID プチ日記
偽物
Z7 + NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
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実は昨日の日記は、当初はサントラについて書こうと思ったのではない。
そこに至るまでのある出来事というか、失敗について書こうと思った。
しかしサントラの説明だけで長くなるので、そこで一回日記を区切った。
今日はその続きである。
どうもあの当時の日本の映画音楽ファンの多くは、同じ失敗を経験しているようだ。
今になって同世代の人がそれについて書いているのを見かける。
僕以外にも似たような道を歩んだ人が全国にいるのだ。
小学生の頃(つまり50年近く前であるが)は、郊外に住んでいた事もあり、地元のレコード店に行っても大したレコードは置いてなかった。
映画音楽のコーナーには、せいぜい西部劇とか恋愛映画の音楽を特集したオムニバス盤のLPが数枚ある程度だった。
もちろんサントラ盤ではない。
版権の問題とか、いろいろ理由はあるのだろうが、当時は洋画のオリジナルサウンドトラック盤自体をあまり見なかった。
あるいはどこかで売っていたのかもしれないが、自分の行動範囲では見たことがなかった。
仕方なく、というよりその世界しか知らず、地元の小さいレコード店で映画音楽のオムニバス盤のLPを小遣いで買ったり、親に買ってもらったりした。
それが唯一手に入る「映画音楽」だったのだ。
そしてそういうアルバムの多くは、悪名高き「アンサンブル・プチとスクリーンランド・オーケストラ」の演奏であった。
大好きな映画の音楽が聴けると思い、ワクワクしながらレコードをかけるが、どうもピンとこない。
確かにメロディーだけは同じなのだが、オリジナルとはちょっと違う演奏。
妙に軽くて、映画音楽というよりイージーリスニングである。
子供ながらにも、これは偽物だと思った。
中にはまったく雰囲気の違う曲に仕立ててしまった演奏もあった。
コピー音楽を作るのに嫌気が差して、破壊したくなったのだろうか。
確かに曲としてはひとつの作品なのだろうが、聴いても肝心の映画作品とはまったく結びつかない。
映画音楽ファンにとっては、これは致命的な事である。
昨日も書いたが、映像ソフトを自由に見る事の出来ない時代においては特に、映画音楽は映画本編の世界を想起させるほとんど唯一のツールであった。
音楽として楽しむためのものではないのだ。
アンサンブル・プチがどのような楽団なのかもまったくの謎であった。
実は未だに謎で、どのような経緯であのようなアルバム群が作られたのか分からない。
もしかすると最初から店舗で流すような軽いBGM集としての企画であり、映画音楽であるかどうかはどうでもよかったのかもしれない。
当然サントラ盤の存在を知ってからは、アンサンブル・プチのアルバムを忌み嫌い避けるようになった。
実際当時買ったこれらのアルバムは、小学生の頃から40年以上まったく聴いていない(笑)
今でも棚の奥でそのまま眠っている(はずだ・笑)
後年ネット時代になり、僕と同じくアンサンブル・プチに騙されたという人がけっこういることを知った。
しかし逆に言うと、これらの偽物アルバムのお陰で、サントラという「本物」へのこだわりが生まれたのも事実である。
子供ながらに、自分は本物を求める本格派なのだという自負を持つようになった。
今となっては偽物アルバムも少し懐かしい気がしないでもない。
本物が簡単に手に入る時代だからこそ、逆に偽物を専門に研究する価値もあるか・・・
いや、やはりそれは無い。
棚の奥から出してきて、もう一度聴こうという気にはとてもなれない(笑)
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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あ〜わかります。私も偽物を掴まされた口です。(笑)
当時は、ベスト盤?と称してサントラ数曲が入っているだけで、
他は何とか楽団演奏なんてのもありましたが、これはまだ
良心的な方でしょうか?(笑)
やはりサントラの高揚感、緊張感といったリアル感がゼロで
がっかりしたものです。
ちなみに最初に買ったサントラはシングル盤の「大脱走マーチ」
で、聞きながらすっかりマックイーンに成りきっていました(笑)
キングのサントラシリーズでは「大脱走」のB面は「砦の29人」でしたね。
LPでは珍しいサントラが1、2曲だけ入っているのがあって、仕方なくそのために買ったりしました。
特にマカロニウエスタンでは「さすらいの一匹狼」みたいにマイナーな作品のサントラが、そのアルバムでしか手に入らなかったりして、商売が上手いというか悪質というか・・・(笑)
誰かが管理して小出しにしていたんじゃないかと疑っています。
あとサントラと称して別録音の歌入りだったりとかなりデタラメでした(笑)
偽物といえば、「ブレードランナー」のサントラもひどかったですね。一応オフィシャル版のサントラだったのに、ヴァンゲリスじゃなくてニューアメリカン・オーケストラとやらの演奏でした(RX-7のCMに使われたのはこのバージョン)。
1994年にようやくヴァンゲリスの公式版がでたとおもったら、アレンジしまくりでセリフ被りまくりのトンデモ版。結局、まともな公式サントラはいまだに出ていません。
おまけに、ブレードランナー最終版で追加になったシーンに使われていた曲は、なんと日本映画の南極物語からの流用でした。まったく泣けてきます。
ヘンリー・マンシーニのコロンボのテーマとされていた曲は、本当はコロンボの曲ではなく、マクロードなどと一緒に4作品が交互に放映される番組枠のテーマミュージックだという話でしたね。
燃えよドラゴンはラロ・シフリンですね。
あの当時は全盛期でした。
ダーティハリーとかブリットとか。
そういえばブリットもサントラと称してテンポの違う演奏が長年出回っていました。
かなりラフでデタラメでしたが、それで通用する社会だったとも言えますね。