シングルタスク


SIGMA DP2 Merrill

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朝のホームで、変なおじさんと行き合う。
何やら薄汚れたジャンパーを着た冴えないおじさんだ。
電車から降りて、階段を上がったところで合流する。
そのまま同じ流れで改札に向かうのだが、そのおじさんの後ろにつくと面倒なことになる。

改札を抜ける直前で、急に止まってしまうのだ。
そこまで来て、切符を出そうとカバンの中を探し始める。
同時に二つの動作をすることが出来ない体質のようで、何かを始めると足がストップしてしまう。
少し前から準備すればいいものを、目の前まで来て思い出したように探し始めるのだ。
それをいつも必ずやる。

忙しい時間帯なので、皆がある流れに沿って動いている。
その中で、改札の前で急停止されてしまうので、後ろの人たちが次々にぶつかってくる。
皆慌てて隣の列に移動し、流れにかなりの混乱が生じ、被害を受けた人たちが、怒ったような顔でおじさんを睨んでいく。

そこでおじさんと合流しそうになった時は、何としても先に行くことにしている。
おじさんが歩いているのに気付くと、早足になり改札口に到達する前に追い抜こうとする。
毎日階段の途中から、まずおじさんがどこにいるか探すくらいだ。

先日改札を抜けたところで、少し先をおじさんが歩いているのをみつけた。
観察しながら歩いていると、改札でもないのに、おじさんが急にストップした。
後ろの人たちがぶつかりそうになり、慌ててよけていく。

はて・・と思って見ていると、おじさんはその場で停止したまま、手を頭の上に持っていった。
そして頭をポリポリと掻いた。
歩きながら掻くことはできないようだ。
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