警戒


SIGMA DP2 Merrill

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知人が庭で花に水をやっていると、近所で一人暮らしをしている顔見知りのおばあさんが話しかけてきた。
二日前に自分の家に泥棒が侵入し、タンスの中にあった現金が盗られたという。
警察が来て現場検証をしていったが、犯人はまだ捕まっていない。
毎朝庭で水をやっている知人に、怪しい人を見なかったかというのだ。

残念ながら不審な人物には気付かなかったが、自宅からほんの数軒先のことで、聞き捨てならない話である。
犯人はおばあさんの不在の時間を縫うように侵入しているという。
あらかじめ下調べしたとしか思えない。
これは地域の住民が協力して、警戒にあたらなければならないだろう。

今朝そんな物騒なことがあったと、知人がウチやってきて教えてくれた。
おばあさんは疑わしい人物の名前を挙げたが、警察からは証拠が無いので動けないと言われたという。
知人には、むしろおばあさんから疑われると厄介だから、慎重に行動したほうがいいと話した。

一緒にその話を聞いていた母親が、翌日になり、あの話はおかしいのではないかと言い出した。
あれからもう一度考えてみたが、そのおばあさんの言動はどうも変だというのだ。
誰かにモノを盗られたというのは、典型的な老人ボケの症状であり、警察もそれを知っていて動かないのではないかと気付いたという。
むしろそんな話に踊らされるほうが危険なので、知人に注意すべきだと言っている。

考えもしなかったが、確かにその可能性は十分にある。
早速知人にそのことを告げると、知人も思ってもいなかったと驚いた。
母親がそういうことに気付くほどしっかりしていることに、僕も息子として驚いた(笑)

知人はその翌日も、庭先でおばあさんから話しかけられた。
もちろん今度は最初から、おばあさんの態度を用心深く観察しながら接した。
おばあさんは先日の会話がまったく無かったかのように、泥棒に入られたことを一から話し、知人に不審な人物を見なかったかと聞いたという。
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