地震の日 ３

自然界に現れる地震の前兆を宏観現象という。
話はさかのぼるが、最近は宏観現象は比較的静穏だったように思う。
大きな地震の前には前兆現象が収まり静かになる、という説もあるが、これはまあ、何とでも言える。

ただあの日はカラスが異様に騒いでいた。
暗いうちから騒ぐので眠れないほどだった。
カラスはどうも勘がいいらしく、何かことが起きる前に騒ぎ出す。
人によってはカラスには予知能力があるのではないか、などと言う人もいる。
でもウチの周りでは年中カラスが鳴いているので、あまり当てにならない。

カラスは全国のカラス族共通の言語を持っているそうで、カラス同士の会話が成り立っている。
時折夜中でも大声を張り上げるカラスがいるので、愛用のシュタイナー双眼鏡で様子を観察してみると、中には一羽で孤独に鳴いているのがいる。
いったい誰に何を伝えようとしているのだろう？
もし人間に対する警告であるなら、それに耳を貸そうとしない我々は馬鹿である。
カラスは意外にいいやつなのかもしれない。

D2X + VOIGTLANDER ULTRON 40mm F2 SL Aspherical

地震の日 ２

しかしどうやら自宅周辺のほうが揺れが激しかったようで、そばにある叔父の家ではガラスや食器がいくつか割れたそうだ。
もっとも叔父の家は地上14階にあり、はるかな富士山が望める実に見晴らしのいい場所なので、少し条件が異なる。

はやく家に帰りたかったが、電車が止まってダイヤが混乱しているようなので、夜になるまで親の家でMrs.COLKIDと待った。
遅くなって帰宅してみると、今度はエレベータが止まっている。
久しぶりに階段で上ったが、叔父の家みたいな高層階だったら、こんな時は堪らないだろう。

恐る恐る自分の家のドアを開けてみたが、特に変わった様子は無い。
危なっかしく積み上げている本やCDが、僕の部屋にはたくさんあるのだが、それらが崩れた形跡も無い。
しかしよく見ると、棚や机の上の多くの小物が、元あった場所から横に数センチ移動しているようだ。
多分大きく左右に揺さぶられて、そのままの形で移動したのだろう。
その場で見ていたらちょっと怖かったかもしれない。

唯一完全に倒れていたのは、家に二つあった山田さんの版画の額だった。
きっと二人の神様が身を挺して家の中のものを助けてくれたのだろう。
ありがたいことだと夫婦で拝んだ（笑）

あとは天井から吊ってあった模型飛行機の糸が外れて落ちかけていた・・・という程度で済んだ。

D2X + VOIGTLANDER ULTRON 40mm F2 SL Aspherical

地震の日 １

一昨日関東地方で少し大きめの地震があった。
僕は仕事で埼玉にいたのだが、最初の一撃は足元をすくわれるような揺れ方だった。
ああ、いつもより大きいなと思ったら、震度５弱だそうだ。

怪我をされた方には申し訳ないが、この程度の地震なら、来るべき大地震に対し無防備な日本人への、いい警鐘になったように思う。
本番がきたらこんなものでは済まない。
その場にへたり込み何かにかじり付きながら、最初の1分間をやり過ごすのが精一杯だろう。

D2X + VOIGTLANDER ULTRON 40mm F2 SL Aspherical

赤いビル

・・・というわけで、例によって床屋に行ったりしながら、銀座をふらふらして写真を何枚か撮ったが、今日は疲れていてあまりまじめに撮影していない。
本文と何の関係も無い写真を載せているので悪しからず（笑）
全部ウルトロンの40mmで撮っているので、このレンズの特色は出ているかもしれない。

フォクトレンダーに寄り道をしなければ、ニコンの200mmマクロを買う予定だったと書いた。
ちょっと高いレンズなのだが、中古を見たら何とか買えそうなので、それでいいかと思っていた。
この200mmマクロというのは、特性が非常にいいレンズで、いわゆるMTF曲線はべったり"1"に張り付いていて、ニコンの中でも特殊なレンズのような気がする。
だからどんな画像なのか、どうしても見てみたかった。

一部のマニアックな人たちには人気があって、よく売れているレンズなのだそうだ。
持っている人に画質を聞いてみると、とにかく被写界深度が浅くて、かみそりの刃のように薄い面にしかピントが合わないという。
手持ちでの撮影は到底不可能。

ニコン専門の中古ショップの親父さんに「あのレンズはシャープで凄い画質なのではないですか？」と聞いてみたら
「ウーン・・・カリカリだよ」
という返事をいただいた（笑）

D2X + VOIGTLANDER ULTRON 40mm F2 SL Aspherical