避暑地


日光はもう一歩のところで避暑地になり損なった町だという。
外国には「避暑」なる風習があることを知った明治時代の日本人が、我も我もと大挙押し寄せたため、俗化を嫌った外国のハイソサイエティがそっぽを向いてしまったのだ。

今でも日光の町は何とも垢抜けない。
日光という観光地は、これだけのものを持っているのに、やり方がずいぶん下手だと僕はよく言っていた。

ところが先日、知り合いからそれは違うと指摘された。
日光は開発が遅れたがため、独自の良さを保っているのだという。

もしここを不用意に避暑地として開発したらどうなるか。

たしかにもう少しおしゃれなお店が並ぶかもしれない。
その観光収入に目をつけた企業、特に外国の資本がどんどん参入してくるだろう。
町には東京と何ら変わらないブランドショップが並ぶことになる。
そしてバッグを肩から下げた子供の観光客がバスで押し寄せる・・・

結果的にどこかの高原と何も変わらない町にと変貌してしまうだろう。

難しいところだ。
皮肉なことに、寂れているからこその良さがここにはある。
その古臭さが懐かしくて日光に惹かれる観光客も多いはずだ。

日光は何度行っても見尽くせないほど奥深いものを持っている。
だからこそ世界遺産に選ばれたのだろうが、ここは意外に大人の町なのかもしれないとも思う。
今後の開発は、慎重に行わなければならないだろうが、考えてみたら日光市民でも栃木県民でもない僕が、これ以上心配しても始まらないか・・・(笑)

D2X + AF-S DX Zoom Nikkor ED 17~55mmF2.8G(IF)
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