酔生夢死浪人日記

 日々、思いついたさまざまなことを気ままに綴っていく

ロック最前線の音

2007-02-04 01:40:41 | 音楽
 昨年来、話題になっていた新作をタワレコで買い漁った。ブランクと年のせいで、審美眼ならぬ<審ロック耳>は衰えている。以下の評は的外れの連続に違いない。

 まずは、オアシスの後継者と喧伝されるアークティック・モンキーズの1stアルバム“Whatever People SayⅠAm,That' WhatⅠ'm Not”から。ドライでシャープ、ストイックで切っ先鋭い音は、UKメーンストリームという感じはしない。<ベルベッツ⇒NYパンク⇒ガレージロック⇒ストロークス>の系譜に連なるバンドといえるだろう。

 レイザーライトの2nd“Razorlight”は、60年代の匂いがする。ボーナス映像(パソコン対応)ではロジャー・ダルトリー(フー)をフューチャーし、「サマータイム・ブルース」を演奏していた。<ジャムの息子=フーの孫>といえる音に触れ、ロックに目覚めた頃の感覚が甦り、ノスタルジックな気分に浸れた。

 マイ・ケミカル・ロマンスの2nd“The Black Parade”はロマン主義的情熱に貫かれた作品で、70年代のグラムロックの薫りもブレンドされている。デヴッド・ボウイの“Ziggy stardust”を髣髴とさせる曲調に、シアトリカルな展開、ロマ風の郷愁も織り込まれていた。いかにもUK的な音だが、出身はアメリカ東海岸だ。ロックとは、時代や国境を循環しつつ進化するものなのだろう。

 中心メンバー脱退など紆余曲折を経て陽の目を見たのが、クーパー・テンプル・クロースの3rd“Make This Your Own”だ。80年代のニューウェーヴ、とりわけ“Pornogrphy”の頃のキュアーの影響が窺える。04年のキュアーの全米ツアーにはミューズらとともに帯同していた。本作は1stのダークな衝撃と2ndのポップな部分が適度に混ざり合い、バンド復活を告げる内容になっている。恵比寿リキッドルーム(4月11日)でのライブが楽しみだ。

 ブロック・パーティーの2nd“ A Weekend In The City”は、上述のクーパー・テンプル・クロースと志向性を共有している。1stの猛々しさを保ちつつ、UK独特の陰翳を深化させていた。来日公演のチケットは早々に売り切れたという。狂おしい<円月殺法>の切れ味に触れることができる人たちが羨ましい。

 嬉しいニュースが飛び込んできた。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンがコーチェラフェス最終日、大トリとして1日限定で復活する。レイジとはラディカルなメッセージ、音楽的革新性、超絶パフォーマンスと、ロックの理想をすべて備えたバンドだった。逆さまの星条旗、ゲバラの写真、トム・モレロのギターに記された「ホ-ムレスよ、武装せよ」の文字、飛び跳ねながらアジるザック……。暴風雨下で決行された第1回フジロックでの名演が甦った。

 NHK-hiでフー・ファイターズatハイドパーク(昨年6月)を見た。極上のポップチューンが次々に繰り出され、8万5000の大観衆がデイヴと合唱する。別稿(12月2日)に記したが、俺は凄い奴と握手したものだ。

 上記のバンドでレイジやフーファイに迫る可能性があるとすれば、ブロック・パーティーではないか。3rd以降の課題は、内向きのベクトルから自らを解き放つことだと思う。

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