…って、ご存知ですか?
お豆腐を凍らせたのが高野豆腐でしょう。
ああいうふうに、こんにゃくを凍らせて、
からからに干しあげたものが、凍りこんにゃく。
「しみこんにゃく」ともいいます。
水で戻すとスポンジ状になります。
(昔は、ほんとにスポンジがわりに、
肌の柔らかい赤ちゃんの沐浴に使ったそうです)
うす黒っぽくて、スカスカして、ふにゃふにゃして、
柔らかいけど、ばらばらにはならない。
で、お味は、というと、味はないの。
わたしの実家では、これがお正月に欠かせない食材でした。
小さく切って、黒豆を煮るときに入れるのです。
甘ーいおつゆをたっぷり含んだ凍りこんにゃくを
黒豆の合間につまんで食べるのが美味しかったな。
家は父の転勤であちこち移動していたのですが、
凍りこんにゃく入りの黒豆というのは、
いったいどこの地方のおせちだったのかな。
関西か九州のどこかだろうと思うのですけど。
年々、凍りこんにゃくは入手が難しくなり、
母が熱心に探し回っていたのを覚えていますが、
いつしか途絶えてしまったようです。
実家のおせち料理を、わたしはまったく継承していません。
凍りこんにゃくのことを思い出すのは、
架空の郷里を懐かしむような気持ちかもしれませんね。