閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

探偵ごっこ

2006-12-11 09:03:06 | 日々

よく晴れた風のないお昼過ぎ、ふと窓の外を見たら、
黒猫が1匹、すたすたと歩いていきます。
おなじみ珊瑚のさんちゃんです。ただいま体重5キロ半。
ちょっと立ち止まり、あたりを見回し、すたすたすた。
なんかあやしいぞ。
どこ行くんだろう。

猫はときどきひとりで出かけます。
たいていはどこで何しているか、わかりません。
いつのまにかひとりで帰ってきます。
うちのコたちは、いわゆる fixed cat なので
それほど遠出はしない、と思うんですが。

探偵になって、あとをつけてみることにしました。
足音をたてないように、そーっと。
気づかれないくらいの、見失わないくらいの距離で。

昼間の黒猫はよく目立ちます。
ぴんと高く立てた長い尻尾が、ちょっと得意そう。
さんちゃんが止まると、わたしも止まります。
そーっと。
(そうか、尻尾のあとついて行くから尾行というのね)

うちの玄関前。車がとめてあります。
車の下に入るのかな。
ちがった。タイヤの横をするすると通過。

石ころ道の坂をのぼると、砂漠に出ます。
(ここは、昔飼っていたサクラという名前の犬が
よくグルグル駆け回っていた砂っぽい場所なので、
いまでも「サクラ砂漠」と呼ばれています)
さも何か用ありげに砂漠を横切っていくさんちゃん。
薪用の木が積んであって、隠れたりのぼったりする場所は
いくらでもあるんだけど、寄り道もよそ見もしません。
誰かと約束でもあるのか。
うーん、ますますあやしいぞ。

砂漠のはずれで、ふいっと左に曲がって
姿が見えなくなりました。
この先、川があって、岸は急斜面の竹やぶ。
ここで見失ったらおしまいです。
少し急いで追いかけていくと、

枯草のむこうから、ぴょこっ、とさんちゃんの頭。
まんまるゴールドのお目々がふたつ。
「あれえっ?」とびっくりしてこっちを見てる。

…あーあ、もうみつかっちゃったか。

さんちゃん、大喜びでこっちへ走ってきてしまいました。
それじゃ尾行はおしまいだ。
お散歩にきりかえて、短いコースをひとまわり。
うれしそうに、足にまとわりつくように、ついてきます。
途中の桜の木でカリカリ爪をといでます。
帰りに坂を一緒に駆け降りると、さんちゃんの尻尾が
みるみるぼわっとふくらんで、わーお、黒ギツネさん!

わたしが帰ってきたら、さんちゃんも帰ってきて
満足そうにひなたで寝そべりました。
…結局、さんちゃんのご用は、なんだったのでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする