弁理士の日々

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日本はシリア停戦監視団派遣を断った

2012-05-18 22:40:14 | 歴史・社会
日本政府、シリア監視団への派遣要請を断る
日本テレビ系(NNN) 5月18日(金)18時13分配信
『シリアで活動する国連の停戦監視団への要員の派遣について、日本政府は「派遣しない」という判断を国連に伝えた。
国連は現在、シリアに非武装の停戦監視団を派遣しているが、部隊を拡大させるため、日本を含む各国に要員の派遣を求めている。西田恒夫国連大使は17日の会見で、「要請には応えられないと国連に伝えた」と述べ、日本政府として派遣はできないと国連に回答したことを明らかにした。
シリアでは監視団の派遣が始まった後も衝突が続いていて、日本政府筋は「治安状況が改善に向かっているとは言い切れない中で、今回の派遣は難しい」としている。』

「シリアに非武装の停戦監視団を派遣」ですか。いったいどのような活動なのでしょうか。
非武装の軍事監視団というと、私は伊勢崎賢治氏を思い浮かべます。このブログの中では以下のように記事にしてきました。
自衛隊施設部隊が南スーダンPKO派遣》2011-10-15
『伊勢崎氏が主導したアフガニスタンDDRでも、軍事監視団の問題がありました。私がアフガン復興で日本がやってきたこと(2)で書いたように、DDR推進に際し、中立の軍事監視団が存在しませんでした。通常の国連活動であれば、非武装の軍事監視団が現場に駐在し、極めて権威ある活動を行います。
このような非武装の軍事監視団に日本の自衛官が参加できれば、これほど日本の自衛隊にふさわしい活動はありません。伊勢崎氏は当時、日本政府に要請しましたが、まったく反応がありませんでした。結局、お金は日本が出し、国連アフガニスタン支援団の軍事顧問チームを監視員として借り受け、伊勢崎氏が団長になって監視団を組織しました。伊勢崎氏の任期は1年でした。軍事監視団はNGO(日本地雷処理を支援する会)の園部宏明氏に引き継がれました。』

アフガニスタンに陸上自衛隊派遣?》2008-06-15
『日本が担当した「武装解除」活動において、活動を見守る軍事監視団が結成されます。非武装の軍人が当たります。武器を持っている軍閥から、非武装の軍事監視団が監視して武器を取り上げるというわけで、勇気のいる仕事です。2003年当時、日本の自衛隊がこの軍事監視団に加われば、名誉ある地位を得ることができたでしょうが、伊勢崎氏の進言にもかかわらず、日本政府は一顧だにしませんでした。』

日本が外国に自衛隊を派遣する場合、常に「武器使用基準」が問題になります。活動の場の治安状況から考えて必要な武器使用ができない状況では、当然ながら自衛隊を派遣することはできません。
それに対して停戦監視団は《非武装》です。丸腰で行くのですから、武器使用基準は問題になりません。もちろん非武装ですから、武装集団に襲われて殺害される危険がつきまとうでしょう。それだけ崇高な任務であり、各国は国連からの要請で高級将校を監視団員として派遣していると思われます。

今回、国連は日本に対して停戦監視団への要員派遣を要請したのですね。それに対して日本政府は断りを入れたようです。
「世界平和を守るためには危険はつきもの。その危険に飛び込んでこそ、世界から尊敬される。」という図式が恐らくあるはずです。日本はそのような価値観を世界と共有することを放棄したのでしょう。

同じ日本人でも、警察官、消防士、海上保安官などは、常に危険と隣り合わせの職務を遂行されています。毎年、殉職される方も一定の人数でいらっしゃるはずです。私たちはそれに対して、ありがたく感謝するとともに尊敬しているのです。何で、自衛官のみは危険な職務に就くことが許されないのでしょうか。
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