弁理士の日々

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尖閣問題~石原慎太郎vs鳩山由紀夫

2010-10-08 21:06:46 | 歴史・社会
鳩山由紀夫氏が今年5月27日に全国知事会で尖閣諸島の帰属問題に触れた点について探したら、以下の記事が見つかりました。
全国知事会で石原知事激怒「こんな総理かなわん!」
2010.5.27 21:38 産経ニュース
『「こんな総理、かなわんわ…」。27日に東京都千代田区の都道府県会館で開催された全国知事会議に出席した石原慎太郎知事は、鳩山由紀夫首相の安全保障に関する認識にいらだちを隠さなかった。会議は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題で、政府が沖縄の負担軽減策の柱とした訓練の全国分散移転をめぐって開かれたが、鳩山首相は予想に違わずほぼ四面楚歌(そか)だった。
石原知事をいらだたせたのは、意見交換の席上での鳩山首相の発言だった。
石原知事は尖閣諸島防衛での米国の消極性を例示。その上で「日本の領土を守らないなら、何のため沖縄に膨大な基地を構えるのか。抑止力を現政府がアメリカに問いたださない限り、訓練分散を論じる足場がない」と糾弾した。
これに対し、鳩山首相は「日中の間で衝突があったとき、アメリカは安保条約の立場で行動する。しかし(尖閣諸島の)帰属問題は日中当事者同士で議論して結論を出す、と私は理解をしている」と回答した。
この言葉に、会議途中で退席した石原知事は怒り心頭の様子を隠さなかった。報道陣に、「日中間で尖閣諸島の帰属を協議しようって、こんなバカをいう総理大臣いるのか? 正式に(米国から)返還されたんだ。ばかな会合だよ。ナンセンス!」。』

前回紹介した石原慎太郎著「国家なる幻影―わが政治への反回想」と対比してみるとよくわかります。

全国知事会における石原知事の発言「尖閣諸島防衛での米国の消極性を例示」は、おそらく、日本がハーグの国際裁判所に提起して尖閣の所属をはっきりさせよとうとしたところが、アメリカが紛争当事者の問題であってわが国は一切関与しないと声明したこと、さらにアメリカの駐日大使モンデールが尖閣諸島の帰属に関しての実力行使を伴う国際紛争の場合には日米安保の発動はこれを対象とはしない、と発言したことなどを指すのでしょう。

また、『その上で「日本の領土を守らないなら、何のため沖縄に膨大な基地を構えるのか。抑止力を現政府がアメリカに問いたださない限り、訓練分散を論じる足場がない」と糾弾した。』については、石原著書の中の以下の主張がその根底にあると思われます。
『アメリカの世界戦略遂行のために不可欠の基地を、多大な犠牲を払いながら提供している沖縄県の一部である尖閣という父祖の地が、墓地や遺跡を残したまま外国の主権主張の下にその帰属の正当性を危うくされているのに、それでもなお獣じみた、世界中で忌まわしい問題を起こしている海兵隊の基地を含めてその全面的な依存を相手が要求してき、かつなおそれらの地が沖縄県の一部への外国からの侵犯に発動しないというのなら、それら沖縄の基地を含めて成立する日米安保なるものの日本にとっての意味と価値が本気であらためて問い直されるべき時期に来ているといっても差し支えない。
前述の新聞のコラムで私は尖閣はアメリカにとっての踏み絵となるだろうと書いたが、アメリカの現政権がシナをどう意識しようとその踏み絵を踏まぬなら、われわれは沖縄の基地の全面撤去を含めて戦後日本人の意識を大きく歪めても来た日米安保体制なるものを考え直すべき時に来ているのではないか。』

全国知事会での石原知事の問いかけに対する鳩山当時首相の答え「(尖閣諸島の)帰属問題は日中当事者同士で議論して結論を出す、と私は理解をしている」は、今となっては何ともはやトンチンカンで日本の国益を害する答ではありました。
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